マンションの維持管理の課題

私と同年代の友人たちが、マンションの管理組合の理事になることが増えています。購入は新築や中古と違いはあるものの、築30年前後を迎えて大規模修繕の時期となり、「知恵を貸してくれないか」と相談を受けることが多くなりました。しかし、調べれば調べるほど、専門知識を持たない素人集団である管理組合が格好の標的にされているように感じます。本来は管理組合の味方であるはずの管理会社でさえ、信用できないような状況なのです。マンションコンサルを名乗る設計事務所や施工を行う建設会社などがネットワークを作って、住民がコツコツ貯めてきた修繕積立金をターゲットにした談合や不正などが頻発しています。

一方で、組合側にも役員のなり手がいないという課題があります。いわゆる「人任せ」や「お金で解決すればよい」と考える人が増え、自らの資産に直結する建物管理に興味を持っていないのです。自分の居室については気にしますが、管理組合の財務体質まで気にする人は少ないのです。

共同住宅であるマンションでは、建物をどう維持・管理していくかを管理組合で決める必要があります。しかし、決定の際には、生活スタイルや年齢、ローン返済状況、賃貸向けの所有など、立場がバラバラな居住者の意見をまとめる必要があり、簡単にはいきません。例えば、一部の所有者が管理費を滞納したら、他の住民が立て替えることになるのでしょうか。相続で所有者がたくさん出てきた場合、管理組合がすべての所有者を追いかけるのでしょうか。また、日本人ではない所有者も増えています。民泊を行う所有者が出てきたら、セキュリティや静穏は保てるのかとの不安もあります。なにより、マンションと同じように住民の高齢化が進んでおり、意思決定ができない人も出てくるのです。さらに、ほとんど収入のない独り住まいや孤独死といった問題も出てきています。これらの問題を、「人任せ」にするような管理組合が背負えるのでしょうか。

修繕積立金にはもっと課題があります。特に高層マンションは、大規模修繕ができる会社は限られてくるのではないでしょうか。外壁や防水工事などは、危険を伴うゴンドラで数年かけて行われる工事です。本当に当初の修繕積立計画の施工金額で実施できるのでしょうか。エレベーターの故障は高層階の住民にとって深刻ですが、低層階の人が同様の費用負担を拒むとも聞きます。その際に、全員が納得して負担金を出せるでしょうか。もともと、現在の区分所有の仕組みは、住宅不足だった戦後にできた緊急的なスキームであり、今の時代にそぐわなくなってきているのです。

もちろん、今ある枠組みの中で解決する方法を模索していかなければなりません。多くの人の合意を得ることは時間がかかり、納得できない人が出てくるのが社会というものです。それまでは、管理組合の役員たちがある程度背負わなければなりません。そうしなければ資産が守れないのです。一戸建住宅の管理も空き家がどんどん増えており、明確な解決策はまだ存在していません。しかし、関わる人が少なく、解体費用も安価で、リフォームがしやすいため、他に転用できる可能性があります。マンションはそうはいかず、難度が高いのです。

答えはありませんが、たとえば法制度の面で「相続放棄」が見直され、全ての相続を放棄するのではなく、一部放棄もできるように変えてほしいですね。一部の不動産(ルールを作り)だけでもできるようにすれば、ある程度は解決できると考えています。「負動産」となった区分所有権を行政や国が抱えることになると思いますが、それを受け入れる民間企業も出てくると考えています。個人ではできないことでも、知恵を集めることで新しいビジネスが生まれるはずです。

早急に対策を講じないと、少子高齢化の日本社会で大きな社会問題になることは間違いないと感じるのです。あっという間に築50年を過ぎた区分所有のマンションが山のように存在し、そのほとんどが空き室を抱えることになると思うのは、私だけではないでしょう。

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