地震関連死の深刻さ
残念ながら、熊本地震が再度起きてしまいました。そして、今回も30数名が命を落とされました。被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。同じエリアで、10年のうちに3回目の震度7です。能登半島や中越エリアでも、短期間で繰り返し地震は起きています。この20年近く、日本列島は地震の活動期に入っていると言って良いと思っています。10年前に起きた場所と震源が少しずれたことで、被災エリアが変わり、10年前と同程度の被害が出てきています。さらに、イオンモールでの事故も、我々に教訓を示してくれる事例となりました。


一方、前回の熊本地震や能登半島地震での教訓の一つは、「関連死」の存在です。これまで少なかったというより、正しい調査データがありませんでした。直接死の数倍の人が命を落としている事実を見逃してはいけません。今回も残念ながら、関連死が徐々に出てきています。特に、今回のような過酷な夏や冬の時期の避難状況は深刻です。空調のない避難所や車中泊といった避難民が増えれば増えるほど、関連死は増えることになります。なによりも、日本では高齢化が進み、身体的な弱者がどの地域でも増えているからです。そうした人たちの住む家ほど、耐震性が不十分であるという事実もあります。

その教訓を生かさなければなりません。一つ目が、自宅避難を可能にすることです。これは言うまでもなく、耐震診断・補強という仕組みを普及させることであり、建設業だけでなく、行政や医療機関なども協力しながら進めていくことです。もはや、所有者の耐震化意識、意欲だけでは解決できることではありません。身体的弱者や高齢者は、耐震性のある公営住宅などに移り住んでいただくといった、思い切った政策も必要ではないかと思うのです。さらに、熊本や能登半島のように、大地震が繰り返し起きることが当たり前になってくると、耐震化だけでは不十分かもしれません。現在の新築住宅では、「制震工法」といったエネルギーを吸収する新しい工法を取り入れる時代になっています。もう一つ言えるのが、太陽光発電システムの普及です。広域に停電が起きた時に活躍してくれるため、自宅だけでなく、避難所や公民館に設置することはそれほど難しいことではないと考えています。これだけ地震が起きる日本において、住宅の強靭化は最優先の政策の一つではないでしょうか。

二つ目が、二拠点居住の実施です。少し離れた場所に自宅がもう一つあれば、避難できるのです。子ども家族と一緒にもう一か所持っても良いかもしれません。少し離れた2家族で3か所、3家族で4か所といったことでも良いのです。これは、空き家対策にもなると思うので、法改正を行い、固定資産税や相続税を有利にする方法もあると考えています。最低でも一か所は耐震性を確保するのです。特に、大都市圏に住む人たちや行政に検討していただきたいのです。
三つ目が、空き家を「緊急避難所」として登録する制度です。もしもの時に、利用できるように登録をすることで、所有者に対して税制などを有利にする仕組みです。一か月間だけでも利用できれば、関連死は大幅に減少するのではないかと考えています。

関連死は、住まいの状況を改善するだけでも大幅に減少させることができます。行政の費用負担にも大きく貢献できるのではないでしょうか。だからこそ、国土強靭化の一丁目一番地が住宅の耐震化と言えるのです。もちろん、高速道路、インフラ、がけ崩れ対策などの強靭化も必要ですが、住む場所を失うことが死に直結するということを、「大地震後の関連死」から学んでいます。行政も頑張っています、消防士や自衛隊も活躍していただいています。しかし、人が暮らす住宅の環境を良くすることがもっと優先されるべきだと考えています。微力ながら、木耐協という組合を通じて「人の命を守る」ことを、より力強く進めていきます。


