65歳以降の人生を楽しむ人たち

今後の住宅着工数予測を見ると、住宅・建築業界は右肩下がりの業界に見えます。しかし、市場をよく見ると大きなチャンスも見えてきます。それが、これからも増え続ける65歳以降の人たちの生き方です。彼らの生き方に合わせ、いかに適切な商品を提供できるかが、ビジネスに繋がってくると考えています。

その指標になってくれているのが、林真理子氏の著書「80代になるとたいていボケるか死ぬ。70代は神様がくれた特別な時間」が勧める生き方です。この年代は、お金も時間もあり、なんといっても元気です。家族や社会に縛られる人生から解き離れたばかりであり、自分の人生を楽しもうとする人たちが多くいます。例えば女性であれば、化粧品に使う費用は60歳代、70歳代が最も多く、男性はゴルフなどの趣味に使う費用が多くなっています。大型客船のクルージングに夫婦で参加する人の平均年齢は68歳です。さらに、子育てだけでなく、親の介護が終わりを迎え、相続者として財産を譲りうける世代でもあります。現在の日本社会を良く見れば、もっとも恵まれた年代なのかもしれません。

そんな世代の住まいを見ると、残念ながら現在の時代に合っていないのです。基本性能だけでなく、広さや使い勝手も残念な状況であり、本人はそのことに気がついていないのです。子ども家族が最近の家に住み始めると、実家に帰ってきたときに初めて気づかされます。「おじいちゃんの家、どこ行っても寒いし、ごちゃごちゃしているね」と。その人たちに向けた商品開発や営業方法を考えてみてはいかがでしょうか。

新築住宅を提供したいなら、言うまでもなく、平屋もしくは一部2階建ての平屋部分で生活が完結することです。また、光熱費がかからないZEH仕様にすべきです。しかし、彼らが最も悩んでいることは、「買うのは良いが将来どうすればいいか」であり、そのため二の足を踏んでしまいます。そこで効果的なのが、「買取り保証(価格は相場)」の仕組みです。対象となる築年数を限定すれば、彼らの借り入れも少なく済み、我々のリスクも抑えられます。「貸せる、売れる」ことが見えれば、一歩踏み出す勇気を持つことは難しくないでしょう。

リフォームやリノベーション事業を主力に、住宅会社を営んでいるのであれば、性能アップリフォームを提供できるようにすることが基本です。アクティブシニアは、残りの人生を安心して、快適な空間で過ごしたという思いや、孫たちや旧友たちが喜んで遊びに来る住まいにしたい欲求を持っています。しかし、それだけでなく、「健康に役立つ」「稼げる家」など付加価値をつける必要があります。私の住まいは、「耐震・断熱改修体験館」にリフォームして、「事務所併用」「民泊」施設に変え、「熟睡できる部屋」を提供しています。まだまだ実験段階ですが、将来的に有料にする予定でいます。また、田舎の実家をゲストハウスにリノベーションし、数年間運用して「営業権付住宅」として販売した事例のほか、デイサービスセンターやグループホーム、貸店舗にリノベーションした事例も出てきています。自分たちのためにもなり、将来に渡り活用できるのであれば、自宅に投資してくる層なのです。

60歳代、70歳代の人たちが人生を豊かに過ごせる環境があれば、現在の社会を支えている若い世代にとっても、将来に夢が持てるのではないかと思うのです。「第二の人生はああなりたい」と思えるからです。もちろん、日々の生活にギリギリ生きる人たちも少なからずいるとは思いますが、戦後の平和な時代に高度成長期を経験した人たちの多くは、上記のような状況にあるのです。この人たちに対して、住宅や建築に資金投資できる提案や仕組みを自社で持つことができれば、数十年は安定した経営が望めるはずです。経営とは、腹を空かせた魚がたくさんいるところに釣り糸を垂らすことであり、彼らに針の付いた餌が「美味い=満足」ことを気づかせることでもあります。ぜひ、彼らが満足いただけるように上記のような企画・提案をしていきましょう。

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