大手ハウスメーカー撤退の衝撃

Dハウス工業が、地方からの戸建事業の撤退を決め、大都市に特化した戦略へシフトすると発表しました。人口減少や家余り、建物原価のアップ、職人不足に加え、住宅メーカーの1棟当たりの受注金額が5,000万円をはるかに超えるようになった現状を考えると、地方都市では従来のビジネスモデルが成り立たなくなってきているように思います。全国展開をしている他社が追随する可能性も十分に考えられます。全国一律の家作りは、もはや時代遅れになりつつあるのかもしれません。

そうなると、新築住宅業界は大きな変革を求められることになります。注文住宅向けの総合展示場ビジネスは縮小し、大手から受注していた下請け協力業者も地方からの撤退を余儀なくされます。本来、家作りは地域に密着した住宅会社が担うべきであり、その代わり、家守りを行う責任があると考えています。戦後の住宅不足や高度経済成長、若者の大都市への流入といった社会変化の中で、新築住宅ビジネスが大きくなっていきました。これは一時的なことであり、現在のように社会情勢が安定してくれば、全国規模で住宅を供給するようなビジネスは存在価値を失うのかもしれません。

住宅事業は、土地の上に家を建てる事業であり、建築現場は各々違う場所にあることを踏まえると、地域密着のビジネスに戻るということではないでしょうか。そうすることで、生産効率を高められるだけでなく、地域の環境にも適合させられるからです。例えば、豪雪地域と離島では住まいづくりが異なります。大都会と田園地域では、暑さ寒さだけでなく、空気環境も大きく違います。日本の国土は大きくはありませんが、地域ごとの環境差は非常に大きいものがあります。 

一方で、地方のマーケットからの撤退は仕方ないとしても、残されたお客様へのフォロー体制は必要ではないでしょうか。供給した以上、責任があると考えています。各住宅会社が、独自の工法や仕組みで供給した住まいは、他社ではフォローしにくいからです。構造に関わるリフォームに関して、一般のリフォーム会社では手を付けられない可能性もあります。そのような意味でも、今後は構造的な特殊性を持たせず、誰もがメンテナンス対応できるものにすべきなのです。

住宅会社の選択肢が少なくなっていけば、地方都市でも買取再生住宅が普及していくと考えています。例えば、自動車業界で言えば「認定中古車」といった仕組みが、住宅業界にも入ってくるのではないでしょうか。ネームバリューのある住宅メーカーは、そのブランド力を「買取再生住宅」に使ってくるでしょう。地方の住宅事業者としては、この動きを利用して住宅メーカーにリフォームビジネスを提案していくか、あるいは対抗する独自のビジネスを作り上げるしかないのです。その独自のビジネスの一つが、「性能アップリフォーム」を可能にする断熱改修と耐震改修の技術力です。エリア限定でよいので、「○○認定中古住宅」とブランド化することができれば、大きなビジネスチャンスにつながるはずです。

他方、大都市で建築受注金額がさらに上がっていくことは間違いありません。職人不足、建築資材アップもありますが、外国人を含む富裕層が集まってくることで、ホテルや商業ビル需要が増え、土地の価格がどんどん上がります。結果、都心でのマンション供給が少なくなり、中古マンションに需要が変わるでしょう。そして、家賃が高騰していることもあって売り物件が少なくなり、いずれ中古再生マンションも供給不足に陥るでしょう。そうなると、次は一戸建住宅に移行し始めます。新築住宅は郊外型に移り、中古住宅を安定供給できる会社がビジネスの中心になってくると考えています。

マンションにしても、戸建てにしても、ここまで発注価格が上がっていくと、既存住宅の活用、流通を本格的に取り組まないと、最終消費者から見放されることになりかねません。他の業界に資金がさらに流れ、業界全体がシュリンクしていくことになってしまいます。業界を挙げて、安心、安全な既存住宅の供給を増やしていきたいですね。

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