住宅資材販売店のできること

最終的に家になるまで、建築資材はさまざまなルートで現場に届けられます。一般的な新築住宅の場合、地元の販売店が納材するケースが多いですが、最近では、特にリフォーム工事において、ネットで購入して宅配便で届く場合や、ホームセンターなどの小売店で購入して自分で運びこむ場合もあります。また、材工で行われる外壁や屋根、電気、設備などは独自の納材ルートがあり、施工する職人が自ら持ち運んでくるケースも多く見られます。さらに、木材は、プレカットの普及に伴い工場から直送されるケースが増えました。このような背景から、住宅資材の販売店が関われる品数が少なくなってきている上に、新築住宅の着工戸数も減少しているのです。

地方都市の販売店ほど、生き残りに必死です。エリア展開を進めるよりも、取り扱う商品を増やすか、新しいビジネスにチャレンジするかを、選択せざるを得ません。まずは、サッシや外壁など、これまで扱ってこなかった商品を扱い始め、一棟当たりの売り上げを伸ばそうとします。ただし、これでは新規のお客様(住宅会社)は増えていきません。次に多いのが、リフォームや新築の建設業への進出です。一般消費者(BtoC)向けビジネスへの進出になり、既存の取引先との競合を避けて遠慮しながら行うことが多く、大きなビジネスにはなりにくいのがデメリットです。そして、不動産業へのチャレンジです。土地や倉庫はたくさん持っている強みを活かし、分譲住宅やアパート、貸店舗などのオーナー業(賃貸経営)を始めるのです。最後がM&Aで、いわば他のビジネスやエリア投資する形で、投資家に変身するのです。もはやこうなると、販売店としての機能や存在感は薄れてしまいますが、これにより生き残った会社が存在することも確かです。

例えば、四国のK建材様や福島のK建材様は、お客様(住宅会社)や設計事務所、不動産会社などを巻き込み、空き家を「ゲストハウス」にリノベーションして、宿泊事業を行っています。当たり前ですが、リノベーションに使う資材は全てを自社で納材します。施工は住宅会社が担い、空き家探しは不動産会社が行うなど、強みを活かしたチームを組んでいるのです。中には、建て替えたほうが良い物件もあるため、結果として大きな売り上げにつながっています。課題となるのは宿泊施設の運営ですが、地元のことを良く知っているため、普段見られない景色やイベント、食事場所などを伝え、非日常的な体験をプロデュースすることで、運用率も高く推移しています。

また、埼玉のK建材様は、訪問介護士の無料休憩所と福祉部材のショールームを一体化した施設を提供しています。補助金申請などの業務を代行することで、情報をいただくというビジネスです。介護士の業務は、訪問の合間に空き時間が生じる場合があり、同業者が気軽に集まれる場があれば重宝されます。なお、ここで得られた案件の施工は、取引先の施工会社に行っていただいています。

地域密着の販売店に、ぜひ取り組んでほしいのが「相続の窓口」です。地元で有名な会社ほど効果があると考えています。全国で年間160万人が亡くなり、それに伴う相続が発生しています。「金融商品や生命保険」などのわかりやすい金融資産は、税理士や会計士に任せれば良いのですが、自宅を含めた不動産の相続はいろいろな職種が絡んできます。弁護士や司法書士、家屋調査士と言われる士業だけでなく、金融機関、不動産会社、リフォーム会社、賃貸管理会社など、相続人にとって非常に面倒なプロセスになります。さらに、生前から対応しておくことで、節税に繋がるのが相続税です。入り口があれば、どの専門家に何を相談すれば良いのか、分かり易くなります。販売店としては、地域の皆さんにお役立ちができるだけでなく、情報をいち早く手に入れることができます。結果、リフォーム、解体、不動産投資などのビジネスに繋がると考えています。

地方都市の販売店様は、資材の流通だけではビジネスが成り立たない時代に入ってきました。新しいことにチャレンジしなければならないと感じているのではないでしょうか。日本の社会情勢、経済情勢を見ながら、商圏内の状況、自社の持っている能力を見極めながら、チャレンジしなければならないのです。しかし、他の商圏、他の業界の中で成功している販売店が必ずいます。そうしたビジネススキームを自社の商圏で取り入れることは、新しいことにチャレンジすることと同じです。まずは、一歩前に進んでみましょう。

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