木造建築化と超高層ビル

再生可能な建材である木材が注目され、各建設会社によって新工法が開発されています。CLTや集成材、接着剤、鉄骨などを工夫して、ラーメン構造を可能にしようというものです。中には、市場に流通している木材だけで構築し、コストを抑える方法もあります。耐火性能も高まり、ハードルが下がってきたことは間違いないのです。木材をふんだんに使うことは、地球環境、特に山林に大きな効果をもたらすことは言うまでもありません。鉄骨造やコンクリート造の建築から脱却する都市ができることを期待しています。

一方、大都市では、高層ビル化が顕著に進んでいます。世界の大都市も同じ傾向ではあるものの、東京や大阪がこのまま高層ビルに埋め尽くされてしまうことに疑念を持っています。というのは、50年先、100年先に利用価値が本当に残っているのでしょうか。日本社会では、少子高齢化、AIによるホワイトカラーの仕事の減少などが大きく影響する可能性があります。リモートでできる仕事がますます増えていくと、事務所や商業施設の床面積は、いずれ減少していくはずです。そのうえ、維持管理コストが異常にかかります。エレベーター、外壁、消防施設などの維持管理コストを、ビル所有者だけで負担できるかには疑問があります。また、将来的に、解体についてはどのように考えているのでしょう。もちろん、その時には技術が発展しているかもしれませんが、建設的でないビジネスにどこまで取り組めるのか考える必要があります。

現在、戦後に建設されたビルがどんどん老朽化して解体されていますが、その後の高層ビルを中心にした再開発計画は、どこもかしこも同じであるように見えるのです。ビルが超高層になればなるほど、残念ながら木造化は難しくなるでしょう。10階建て程度のビルであれば、木造化が可能な時代はすぐそこまで来ています。そのような都市計画では、経済的に成り立たないのでしょうか。日本の国土の約7割を占める山林の木を使えば、国土が強靭化され、水源の確保、漁場にもよい環境を与えることができます。日本の置かれている状況を見て、再開発の方法も優先順位をつけていかなければならないと思っています。

私見ではありますが、根本的に、東京一極集中といった現象を、食い止めなければならないのかもしれません。これが続く以上、不動産投資や経済(お金)が東京圏に集中するのは当たり前です。数百年単位で日本社会を見た時に、決して正しい道とは思えません。さらに、円安により、世界の投資家から日本のマンションや土地は安いと思われています。特に、首都圏の不動産は投資価値があるため、不動産価格が高騰し、超高層ビルがなくならないのです。もしも、首都直下地震や富士山噴火が起こった時、後悔しても遅いのです。

政治や経済界が取り組むのが本筋だと思うのですが、我々ができることを推進することが重要ではないでしょうか。一つは、二拠点居住の推進です。東京に居住する人たちに、二つ目の住まいやビジネス空間を提供することです。週末だけ、季節の良い時だけでも利用できる快適な空間です。ビジネスがリモートで十分に可能になれば、ビル群に快適な空間(音、光、空調、ネット)を作るより、コスト的にも低く、提供しやすいと思うのです。所有しなくても、ゲストハウス(民泊)や賃貸空間(月極め)でも良いでしょう。もしもの時に、避難所として活用できれば、行政の負担も限りなく減少することにもなります。

二つ目は、インバウンドを地方都市に引き込むことです。四季を感じる日本の景観だけでなく、歴史や文化を感じる、体験できる地方都市を構築することではないでしょうか。例えば、まだ残っている数寄屋造りの住まいをゲストハウスにすることや、神社やお寺に宿泊してもらい、神事を体験することも良いでしょう。夏から秋にかけて行われる、お祭りへの参加は積極的に勧めたいものです。また、地方都市でも可能な健康、清潔、美容、医療などを組み合わせることで足を運んでいただければ、全てにおいて、リノベーションや快適リフォームビジネスへ、繋がると思っています。その結果、東京一極集中を緩和でき、都市の木造化に繋がると考えています。

