コンテナによるビジネスホテル

私が住む千葉県東金市は、政令指定都市である千葉市に隣接しています。少し足を延ばせば九十九里浜がありますが、中心部は海からは離れており、リゾート地でもないため、宿泊施設は中小のビジネスホテルが数件あるというレベルです。そのような状況の中、数年前に「HOTEL R9 The Yard 」というコンテナを活用したビジネスホテルが開業し、連日、満室の状態が続いています。場所は、市役所に近い区画整理地内で、飲食店とコンビニは近くにあるものの、一般的なビジネスホテルのような駅前の好立地ではありません。コンテナを平置きにするスタイルで、設置型(建築確認が必要)とトレーラー型(車検が必要)が混在しています。このモデルは、県内では東金市以外に海に近い一宮町、勝浦などにもあり、さらには全国の地方都市に150か所程度までに広がっています。

このビジネスモデルが面白いのです。人口数万人の地方都市をターゲットにしているため、ライバルが少なく、土地価格は格段に安い。土地は借地が中心で、コンテナは投資家が購入する仕組みになっています。コンテナ内の内装、設備やホテル運営は、「R9 HOTELS GROUP」が行い、投資家に利回りを提供する仕組みです。このビジネスモデルは、地主、投資家、ホテル利用者の三者大きなメリットがあり、広がっているのではないかと思います。

まず、地主にとっては、利回りの向上とリスクヘッジです。介護施設にしても店舗にしても、長期の定期借地や建て物の投資を求められる「建て貸し」を求められることが多く、一定のリスクが伴います。だからと言って、単純な借地料では大きな利回りが期待できないのです。しかし、このビジネスモデルでは建て物がいつでも移動できるため、もしも稼働率が低ければ設置戸数を少なくすればよいし、最悪の場合、解体費をかけずに撤去・移動して、土地の活用方法を変えることもできます。

投資家にとっては、なんといっても通常の建て物と比較して、トレーナー型にすれば「減価償却期間が短い」ため、利益の出ている会社や個人にとって、大きな節税効果があります。また、中古販売も可能(他の投資家へ再販)であり、大きなリスクにならないと考えます。もちろん、全ての投資にはリスクがつきものですが、一般的な不動産投資よりは、投資金額も分割(小さく)することができ、少なく感じるのです。

さらに、ホテル利用者にとっては、個々の部屋が独立しており、遮音やプライバシーが確保できます。駐車場と一体になっているため、直接入室することもできます。また、冷蔵庫や電子レンジも完備されており、長期に滞在しても不便を感じません。このようなホテルの宿泊者は、飲食などによって地域にお金を落としてくれることで、地域の活性化にもなります。

コンテナホテルの最大のメリットは、移動できることです。震災時の仮設住宅などにも利用可能となっており、業務提携している自治体もたくさんあるのです。インバウンドの急増もありますが、宿泊業界が大きく変ってきています。民泊やゲストハウスが増え、ビジネスホテルや外資系の高級ホテルも順調です。グランピングやテント型ハウスなどもリゾート地で数多く見られるようになりました。一方、リゾート旅館や民宿など、昔ながらの形態は厳しいビジネスになってきています。

宿泊施設が変わってきたように、いずれ、独り住まいの賃貸住宅にもコンテナハウスが進出してくるのではないかと考えています。例えば、大学や工場の寮など、「10年程度利用すればよい」と考えている賃貸住宅であれば、入居者の数に合わせ、コンテナを移動することができます。これまで建て物には長寿命が求められてきましたが、数十年単位で同じ機能を使い続ける時代は、もはや終わったのではないかと思うほど、社会の変化が速くなっていることも事実です。今、盛んに建築されている高層ビルやマンションは、50年後には利用方法が変わっていないでしょうか?修繕や解体にも費用の掛かる構造物であることは間違いがないので、最悪、負の遺産になっていないか、心配しているのは私だけではないでしょう。戦後、住宅不足からどんどん住宅を建ててきたこともあり、50年後の現在は、空き家が増えているのが現状です。そのような意味でも、移動できる、機能を変えられる、解体もしやすいなどが、ビジネスにつながってくると考えています。


