国勢調査から

2025年の国勢調査の内容が発表されました。いくつか驚かされた部分はありますが、ある程度予想していたとおりです。横浜市の人口減少には、少々驚かされました。日本最大の人口を持つ政令指定都市がいよいよ減少に転じました。横浜市内でも西南地域は深刻な状況にあり、東京に近い鶴見区や港北区とは大きな違いを見せています。千葉県については、東京よりの千葉市までは増えていますが、銚子から館山までの海岸沿いはどんどん減少し、県の人口として国勢調査以来、初めて減少に転じました。愛知県も名古屋市以外はすべて減少し、世界のトヨタのおひざ元である豊田市でも同じ状況にあります。第一次産業だけでなく、第二次産業で成り立っていた市町村でも減少しはじめています。

去年は、160万人を超える方が亡くなった一方、出生は70万人以下となると、人口減少のスピードはますます加速すると考えられます。東京や沖縄以外は、一気に減少の波が押し寄せてくることになるでしょう。しかし、見方を変えれば、この100年の人口増こそが異常であり、本来あるべき正常な日本の姿に戻っていく過程といえるのかもしれません。

課題は、少子と高齢化ではないでしょうか。高齢化に関しては、高齢者が社会に支えられるのではなく、支える人になればいいと思っています。実態に合わせて、医療制度や年金制度も変えていけばよいのです。年齢に関係なく、資産や収入がある人は、社会的な経費を負担すればよいし、それを評価していく社会にすれば良いと考えています。収入や資産が少ない若い時期に費用が掛かり、一方で費用が掛からない子育て卒業者は、収入も資産(相続者になっているケースも含め)も多くなっています。「若い時に経済的に苦労したのだから」と、資産を持ちながらも使いきれない高齢者が多いという事実があります。しかし、みなさん若い時は苦労しており、今現在も同じなのです。私も含め、戦後生まれの高齢者は、本人の努力よりも、高度成長や戦争のない時代といった日本の社会情勢に恵まれていたこともあります。そのような立場の人だからこそ、日本社会を支える人としていつまでも活躍してほしいのです。

少子化の解決策は難しいですね。やはり、今後伸びると思われる仕事が大都市に集中する以上、若者が集まり、子育てする環境にはなく、状況は酷くなるばかりではないでしょうか。そのような意味でも地域活性化を推進して、地方都市に仕事が分散する政策が必要です。首都機能の一部移転を実施する時期なのかもしれません。また、経済的な支援だけでなく、法律の改正や教育制度といったことも組み込んでいかなければならないのでしょう。

私たち住宅会社にとって、国勢調査は中長期の方向性を指示してくれるデータであることは言うまでもありません。人口推移だけでなく、世帯推移や通勤方法、勤務地といった重要な要素を持っています。残念ながら、ほとんどの地方都市では、新築住宅事業から非住宅建築やリノベーションへの転換を早期に決断することです。中小企業にとって、エリアを広げることは正しい選択とは思えませんので、ターゲットを変えるか、増やすか、ではないでしょうか。まずは、仕事も遊びも充実しているアクティブシニア層を増やしたいものです。彼らは、自宅の施主であるだけでなく、投資家や相続者としての立場もあります。60歳から80歳くらいまでは、まだまだ現役としての判断ができます。現在の自宅の性能は不十分なことが多く、リフォームや改修ビジネスはこれからが本番です。また、資産形成や節税を狙い、アパートの建築や購入の需要もあるでしょう。親からの相続で、土地や建物を所有する一方、子どもたちへの相続対策もしなければならない年齢でもあるのです。

もう一つは、プロユーザーを増やすことです。いわゆるBtoBビジネスであり、不動産会社、設計事務所、地元ゼネコンなどを木造建築へ引き込むことです。ありがたいことに、地球環境への配慮から、RC造や鉄骨造から木造への転換が進みつつあります。この新築需要が伸びることは間違いありません。今後、不動産会社は新築から買取再生ビジネスが主流になり、設計事務所は用途変更によるリノベーションビジネスに注力するでしょう。地元ゼネコンも、木造の技術者を育てるのは時間がかかり、しばらくは外注するはずです。

会社の方向性を変更するのは、今がチャンスです。近未来の市場に合わせ、自社の営業、施工体制を作り直すことができれば、勝ち組になれると考えています。

