脱サラから創業する理由

40数年前、大学を卒業して配属されたのが、子会社の分譲住宅販売会社です。地方都市を中心に年間300棟から400棟程度供給し続け、設計、現場管理を10年間経験しました。その後、営業職に移動、土地の仕入れ、営業所責任者を7年ほど任されたのです。営業所長になると、人事管理も含め、業務全般、経営の一部分を学ぶことができ、その後どの部門に移動してもその時の知識や判断が非常に役に立ったのです。

色々な理由で退職する人がいます。当時の分譲住宅営業所長職を経験した先輩、同僚や後輩は、ほとんどが創業して一国一城の主になり、成功を収めています。一方、他の事業部に配属された人やスタッフ部門の人たちは、ほとんどが転職しても同じような業種のサラリーマンになっています。例えば、マンション事業部に配属された人は、他社のマンションの販売部門に転職、建材や木材の営業マンは家業を引き継ぐか同業の販売店に行くことがほとんどです。人事課や総務、経理部門に配属された人も同じ業種に就職するのです。同じように創業するのは、小さいながらも不動産の仲介店長を経験した人たちなのです。

創業の道を選択した彼らを良く見てみると、共通点が見えてきます。まずは、「人生一度きり、一度は自分の世界を命一杯生きてみたい」といった強い意欲があります。組織の中で評価されるよりも自分の力を発揮できると、自信を持っているのです。特に、「主体的」な性格を持っており、他人や世の中の所為にしないのです。何度失敗しても、将来に生かすことができています。次に、他人との関りを非常に大事にしており、「お客様とWIN-WINの関係を築こう」と行動しています。自社だけの利益を優先する人は、長続きしていないと知っているのです。

さらに、「常々情報を得よう」と読書だけでなく、学ぶべき人に会いに行きます。特に、同業者の会やOB会などは必ず参加するようにしており、情報や知識を得るだけでなく、自分の得意なことを表現しています。その上、自らの能力である「身の丈」を知っており、チャレンジはするものの「博打に打って出る」ことは行っていないのです。取引先の銀行や他社から勧められたビジネスは、自ら調査して自ら決断しています。不思議とビジネスモデルは、元の会社で学んだスタイルを真似て、ほんの少しカスタマイズしているケースが多いのです。例えば、チラシの内容や告知活動の仕方は、そっくりですね。

創業を選択したメンバーも60歳を過ぎてきています。身内にビジネスを引き継ぐ人はほとんどおらず、「自由人(ユダヤ人の大富豪の教え)へ徐々に移動しつつあるな」と見ています。いわゆる投資家やオーナー業です。不動産であれば、賃貸の建物や貸店舗を所有し、家賃収入が多く入ってきます。貯金ではなく、株や債券などを長期に持っており、配当金や株主優待券を上手に使っているのです。さらに、ベンチャー企業などに投資をしているケースもあります。数人は、自ら創業した本業よりも儲かっています。そして、羨ましいほど、大好きなことを優先して、日々行動に移しています。 そんな彼らを見て、遅まきながら65歳から好きなことを最優先できる「自由人」を目指し行動に移していこうと思っています。まずは足固めをしなければならないですね。経済的な余裕だけでなく、人的なネットワークを構築していかなければならないと考えています。先輩、後輩でもある彼らに誘われれば、喜んで参加し交流を楽しんでいます。「人生は一度きり」「毎日を楽しむ」「世のため、他人のため」「今を生きる」「縁を活かす」など心に刻みながら、ひとり不動産コンサルというビジネスモデルを実践していこうと思うのです。


