エネルギーと省エネ

日本のエネルギーは、戦前から変わらず海外に依存しています。石油や天然ガス、石炭などの化石燃料中心の構造から、未だに脱皮できていません。いろいろな事情があり、再生可能エネルギーや原子力発電の導入が思ったように進まない現状もあります。今年に入って、ペルシャ湾で争いが起こったことで、化石燃料によるエネルギー供給は窮地に追い込まれています。

エネルギーと食料自給率は、未来へ続く大きな課題です。もはや、政治や外交だけでは解決できない問題であり、日本の経済界や教育界をも巻き込んでいかなければならないと思うのです。新たな技術を作り上げても、経済的に成り立つようにしなければ普及しないからです。しかし、いくら土台を作っても、利用するのは国民です。国民一人ひとりが、置かれている状況を理解し、エネルギーも食料も無駄をなくすように努めることが大切です。また、自分たちで生産するという意識を持たなければならないでしょう。

我々住宅関係者ができることは、「建築物の省エネ化」と「発電・蓄電機能の搭載」、この二つを提案してやりきることではないでしょうか。まず、建築物の省エネ化については、新築住宅で断熱性能等級7を確保するだけでなく、賃貸住宅こそ一戸だて住宅と同じレベルの性能を持たせたいものです。賃貸住宅は、窓も外壁の面積が相対的に少ないので、実は思ったほどコストをかけずに性能を向上させることができます。そして、熱交換換気システムを標準化し、冬は暖かさを逃がさず、夏は日射遮蔽で熱の侵入を防ぐようにしてほしいのです。現在では、難度もコストも高くありませんから、提供する我々の意識の問題だと考えています。特に分譲住宅会社や賃貸住宅会社に期待しています。

一方で、約6,000万戸も存在する既存住宅への対策が大きな課題です。特に、無断熱の古い住宅には高齢者が住んでいることが多く、改修に対して「今さら」といった心理的ハードルが高くなりがちです。これには、プロが買い取って回収して再販する中古住宅再生ビジネスを普及させるしかないと考えており、その兆候は既に出はじめています。「一級建築士事務所 住まいるDesign」では、築35年の住宅をリノベーションした、耐震・断熱改修体験館を公開していますので、中古住宅再生を手掛ける不動産会社にぜひ見ていただきたいと考えています。

二つ目の発電と蓄電機能の搭載については、一定のコストはかかるでしょうが、今後、電気料金が下がるとは考えにくく、早めに対応する方がお客様にとっても有益になります。また、ペロブスカイト太陽光発電といった次世代の技術も導入されつつあり、小さな家でも大きな発電量を確保できるようになる時代がいずれきます。また、家一棟ごとに蓄電するだけでなく、地域で纏まって蓄電するという仕組みも普及してくるでしょう。自家用車(EV)の蓄電池機能も当たり前のように活用する時代にしなければなりません。化石燃料に頼らない国にするために、我々が推進役になっていくのだと、意識を変えるしかないのです。その結果、日本人の健康寿命を延ばし、社会保障における医療費の削減にも貢献できると考えています。

今年の夏も猛暑が予想され、電気料金をはじめ、エネルギー関連の費用が大幅にアップする可能性が高いのです。この春の商戦では、社会情勢をチャンスととらえて、省エネ住宅への改修や太陽光発電の搭載を提案すれば、消費者の共感を得られるはずです。今から、ゴールデンウィークに向けて、○○見学会、○○感謝祭、○○周年祭、ガレージセールといった消費者向けイベントを仕掛けてみてはいかがでしょうか。建材メーカーのショールームを利用してもよいかもしれません。取引先やOB施主を巻き込んで、消費者向けイベントを行ってみてください。必ず成果が出ますし、社会への貢献になるでしょう。


