総選挙は、学ぶことが多い

ここ数年、円安を要因とした物価の上昇が止まりません。住宅業界では、資材価格だけでなく運送費なども大幅に上昇しており、建築工事費が驚くほど高くなっています。もちろん、数年前に比べて住宅の性能が上がり、資材コストが上がったことも要因の一つではあるものの、ここまで高くなると、マンションにしても戸建てにしても、一般的なサラリーマンは新築住宅に手が届かない程になっています。

そのような状況の中、年が明け、いきなり解散、総選挙になると想定していた人は多くはないでしょう。理由はともあれ、総選挙によって安定政権ができれば、過度な円安に歯止めがかかり、価格上昇を抑えられるかもしれません。今回の総選挙で注目しているのは、各政党の主張をよく聞き、「円安を止めるためにどのような政策を打つのか」という点です。単に、「日本人の生活が楽になるのか」ではなく、世界の投資家達が今後の日本を魅力的な市場だと感じられるような、具体的な成長戦略を示しているかです。

例えば、社会保障制度は日本国民だけが良ければいいのでしょうか。そのために税金をどんどんつぎ込む制度でいいのでしょうか。資産や収入のある高齢者がもっと医療費や年金などを負担すれば、収入が少ない子育て世代の負担は少なくなります。経済対策では、日本だからこそ成長できる業界や商品、技術などへの投資が、世界の信頼を得るのではないでしょうか。例えば、レアアースの採掘、ペロブスカイト発電、AI、宇宙、リニア新幹線などは、日本国内にとどまらず輸出も可能な分野でしょう。こうした未来への投資がどこまで語られるのでしょうか。

住宅産業は、政策に大きく影響される業界です。国内景気や金利の影響を受けるだけでなく、少子高齢化や教育の在り方、働き方改革、地方活性化問題といった社会問題が複雑に影響します。もちろん、国土強靭化政策では、住宅の耐震化が一丁目一番地であり、インバウンドで注目される観光業でさえ、住宅業界に波及します。やはり、総選挙の結果によっては、経営の方針をいくつか修正せざるを得ないこともあるでしょう。

さらに、今回の総選挙で感じるのは、各党のリーダーの熱意です。これまでは、そのような目で見ていませんでしたが、組織を束ね、方向性を見出し、メンバーを引っ張っていくことは、相当の情熱をもっていないとできないですよね。自民党の高市総理をはじめ、中道の野田代表、維新の吉村知事、参政党の神谷代表など、あれだけの国会議員達を一本に纏めているのには感心します。「いい加減にしろ」と、投げ出したくなるのではないかという場面があるでしょうが、相当に我慢していると思うのです。あれだけ強い情熱があるのは、「権力や権限を持つ」といったことよりも、「日本という国を良くしたい」という心が上回っているのでしょうね。

日本の経営者にもたくさんいたはずです。松下幸之助氏、本田宗一郎氏、稲盛和夫氏などの創業者だけでなく、中興の祖と言われる人たちにも、「日本を良くしたい」という思いがあったはずなのです。いや、サラリーマンや公務員の中にもいたはずなのです。しかし、残念ながら、現在は「自分ファースト」「もっと、もっと減税」「俺が、俺が」などがはびこっています。そんな思いでは、情熱は湧き出てこないし、他人には伝わりません。そのような企業、組織は、社会から淘汰されるのではないでしょうか。「いらない、存在価値がない」と。

また、そのような情熱やリーダーシップを持っていても、最終的に重要となるのは行動力であり、やりきる力が備わっているかです。そのうえ、「日本だけを良くしたい」では、世界から認められません。上記の経営者たちは、世界中の人のために活動していたと思うのです。パナソニック、トヨタ、ソニー、ホンダ、京セラなどは、世界の人たちから認められ、評価されています。政治の世界も同じではないでしょうか。「日本があってよかった、日本を見習おう」と世界中から評価されなければ、円安は止まらないのではないでしょうか。日本人の行動と同時に、投票する一票が試されていると感じるのです。


