道の駅文化

私の事務所の前に、「みのりの郷 東金」という道の駅があります。もともと、植木の産地で有名だったこともあり、市営の「緑花木センター」でした。この道の駅は、その敷地の一部を改装してオープンしたもので、レストラン、直売所、スターバックスが軒を連ねています。国道沿いということもあり、週末には沢山のお客様が訪れます。特に目立つのが、全国のナンバーを持つキャンピングカーで、20台以上が宿泊しています。また、9時の開店時には、朝どれの野菜を求め、地元の人たちも行列をつくっています。週末には何かしらのイベントを行い、SNSやホームページなど駆使して告知活動も行っています。それでも、経済的な収支は十分でなく、市の課題の一つとなっています。その一因として、「第三セクター」のため、責任の所在があいまいになっていることや、ビジネスの専門家を雇えないことがあるようです。これは、地方の行政所有地の活用にあたって、どこでもある問題ではないでしょうか。民間企業が持っている資金やノウハウを積極的に取り入れることができたらと考えています。

道の駅は、車の利用者だけでなく、地域住民にも大きなメリットがあります。まず、新鮮な地元産の食材を手に入れられること、もしもの時の防災拠点になること、農業や漁業従事者にとっては直販機能(消費者動向)を持てること、更に、24時間の防犯機能、雇用の創出など、多くの存在価値があります。一方、渋滞やごみ処理、騒音など、地域住民に対する迷惑行為もあるようです。実際、朝のウォーキングを兼ねて駐車場やごみ置き場をみると、缶やペットボトルだけでなく、忘れ物の靴やビニール袋が乱雑に置かれていることもあります。

「道の駅」が少ない都道府県は、東京、大阪、神奈川というのもわかりやすいですね。大都会に普及しないのは、駐車スペースを無料にするだけで投資効果が合わないことや、長距離のドライブをすることが少ないからではないでしょうか。だからこそ、地方活性化の一つとして、「道の駅文化」をつくりあげていく必要があることは理解されているので、課題をひとつひとつ解決していく必要がありますね。

一つは、名産品という食材の提供、PRは出来ていると思いますが、それ以外の名産品や体験などを増やす必要を感じます。例えば、このエリアは江戸時代から山武杉(さんぶすぎ)の産地で、今でこそそれほど流通していませんが、その杉材でつくられた家はたくさん存在します。田や雑木林も多く存在し、季節によっては、カブトムシやザリガニ取りの体験場所もつくることができると考えています。また、「道の駅」だからこそできる温泉による足湯、昭和の小学校体験なども成功しています。各地で工夫すれば、もっともっと地域の特徴を引き出すことができるでしょう。二つ目は、道の駅のネットワーク化です。各々が足らない部分を補うこともできると思います。共通割引券や宿泊券、食事券なども良いでしょう。スタンプラリーでも良いし、共有のホームページやSNS発信でも良い。納材の物流の共有化や、従業員の教育システム、人事制度など、民間の持っている仕組みを共有で利用できるようにすることです。三つめは、日本国内だけでなく、世界にそのノウハウを輸出することです。世界中から注目されている交番の仕組みやコンビニなどと同じだと考えています。世界中に車が普及すればするほど「道の駅文化」は必要になると考えています。安全性を考えると、国民の民度を同時に上げていく必要はありますが。

地方活性化は課題ですが、どのエリアでも必ず他にないものがあると考えています。それを前面に出していないのではないかと思うのです。風光明媚な景色や名産物だけではないのです。歴史や文化、スポーツ、医療、介護、人物にスポットを当てても良いし、将来の目標を組み入れることでも良いのではないかと思うのです。「道の駅文化」が普及していけば、相乗効果が出るのです。

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