4月の基準法の改正でどうなるか

いよいよ、建築基準法の改正が迫ってきました。今回の改正は、新築住宅だけでなく、リフォーム事業にも大きく影響するはずです。真面目に対応する会社や消費者の負担は大きくなります。一方、抜け道を探す住宅会社も増えそうで、不公平にならないようにしたいものです。しかし、このような外的要因による変化を、ビジネスチャンスととらえて変化に対応することができれば、事業を大きく伸ばすこともできます。

新築事業では、省エネの義務付けは大きな負担になります。施工費用だけでなく、業務申請費用(仕様書・図面含む)もばかになりません。ほとんどのハウスメーカーや大手住宅会社は既に対応していると思いますが、ビルダー(特に分譲)や中小企業は負担に耐えられるか不安です。しかし、これは時代の流れです。エコや省エネ住宅は、消費者にとってもランニングコスト減という大きなメリットがあるため、普及していくでしょう。しかし、構造に関する4号特例の縮小は、施工費用や業務費用に大きく影響しそうです。消費者にとってメリットが見えにくいので、費用負担をお願いしにくいことは確かです。
そこで、自社で行うのではなく、専門としている設計事務所(代願事務所)とコラボレーションすることをお勧めします。このような事務所は、ハウスメーカーを中心に受注していることが多く、作業を得意にしています。外注費用は掛かりますが、内製化にかかる固定費を下げることができます。一方、デザインだけでなく、構造を理解した住宅プランナーを育成することに注力すべきです。構造を理解しているかどうかで、建築コストの差が広がるばかりです。施工体制も専門会社と提携し、外注費が掛かっても、受注活動と設計に注力することをお勧めします。

また、リフォーム事業を伸ばすチャンスでもあります。今後、住宅を非住宅やグループホームなどに変えるリノベーションは間違いなく増えます。その際、大規模な修繕や改修は、建築確認申請が必要となります。ほとんどの家は、検査済証がなく、現地調査とその法的チェック業務ができないと手に負えなくなります。そのようなリノベーションや大型リフォームは、構造が理解できない、元塗装会社や元設備会社などでは対応できなくなるでしょう。そこで、正しい現地調査ができ、耐震診断・補強や断熱診断・改修など知識を持った住宅会社が優位になると思われます。

今回の改正は、地球環境配慮、地震耐国といった日本での社会問題を解決すべき内容であり、住宅性能、品質の底上げができるでしょう。これだけの改正をすると、コストも大幅に上がることになります。しかし、住宅行政で取り組まなければならない課題には、少子化や老介護、空き家問題も残っています。今後、新設住宅着工戸数が減少することは確実で、今のままだと業界自体がシュリンクしてしまいます。消費者、特に高齢者が住宅業界に資金を投入できる仕組みを考えていかなければならないのです。

人生100年、住まいに居る時間は、圧倒的に長くなってきているので、住まいをもっと快適に、もっと利用、活用することをしなければならないと思っています。それを消費者が当たり前と思っていただくよう、業界として取り組んでいく必要があります。金融資産をたくさん持っている高齢者の資金の使い途は、生活費以外に、医療、介護、旅行、グルメ、株投資など、たくさん存在しますが、使いきれないのです。しかし、そのような人でも、自宅の快適性は不十分、活用は十分にできていないのが現実です。

戦後の住まいは、「子育てのための住まい」と誰もが認識していました。個室がほしい、家族団らんの大型リビングなど、子ども中心で、高度成長時代まではそれが当たり前でした。子育てが終われば、住まいの存在価値は下がってしまったのです。住まいに対して、「あと何年でもない、我慢すればいい」と決めつけていたのではないでしょうか。しかし、今の時代は、子育てが終了してからのほうが圧倒的に長く、住まいの考え方を変えなければならのです。快適、安全、安心な住まいがどういうものなのか、広めていかなければなりません。
