新築ビジネスから不動産ビジネスへ
地方都市では、新築住宅着工戸数は年を追うごとに、減少していると感じているでしょう。私の住んでいる東金市(人口約57,000人、千葉市中心から20km)は、千葉市のベットタウンとして2010年頃まで人口が伸びていました。バブル時代(1995年頃まで)は、田や畑を開発して、戸建てだけでなく、分譲マンションが供給されるほど活性化していました。その時代は、分譲を中心に新築住宅着工戸数が550戸を超えていたのですが、2022年度には210戸にまで減少しています。
そんなエリアでも、相変わらず土地分譲を行っていますが、よく見ると、田や畑、山林ではなく、古い家、倉庫跡地、駐車場、工場、店舗、花木用地など、今まで利用されていたものを住宅地へ変更しているのです。その分譲地の近くでは、築30年超えの家が空き家になっているという不思議な現象が起きています。一方、リフォーム業界も思ったように事業が拡大しているわけではない。築30年を超えた住まいの数は、どんどん増えているにもかかわらず、不具合が出た部分だけに手を入れる修繕レベルであり、耐震や断熱改修工事も思ったように進まないのは、どうしてなのでしょう?
プレカット事業運営など、どうしても新築工事にこだわるならば、非住宅建築分野に踏み込まないと、棟数や加工床面積を確保できなくなるのは言うまでもありません。非住宅建築は、必ず「ビジネス」が付くので、土地活用(儲かるか)を提案できる必要があり、その運用者もセットで提案できるかが問われることになります。一方、リフォーム工事は、自分たち家族が「快適になる、安全な生活ができる」といくら伝えても、なかなか行動させるところまでにはいかない。しかし、自宅の活用となると、借り手からの要求・要望があるため、いやでも耐震・断熱改修を行わなくてはなりません。ということは、住宅も含めた建築物がビジネスに連動し始めていると感じるのです。
運営者側(例えば、介護施設や配送、店舗、クリニック、ホテル)の情報をどう入手するかがカギとなります。住宅は主力がエンドユーザーだったこともあり、マーケティング上、告知や集客方法が違うと考えています。それらの有効な情報を得るには、不動産事業を行うことではないかと考えています。少なくとも、不動産会社のネットワークを持っている必要があると思うのです。
まず、非住宅建築の場合、ほとんどがコーディネートする会社や人がいます。設計事務所や不動産会社を経営している場合が多いですが、彼らがほしがるのが、運営者側に見合った「土地情報」です。有効活用、相続対策を希望する土地所有者と如何に知り合いになるか、これは経営者がトップ営業することだと思います。金融機関や地域の会合やイベントなどに参加して、自社ができることを説明するのが一番早い。
また、住宅と違い、非住宅は設計施工することは少ないので、設計事務所に営業展開し、情報を得ることを勧めます。設計事務所は、概算の建設費をお手伝いすること、木構造の相談に乗ることが重要ですね。そのような機能を持っていきましょう。そして、土地情報は、不動産会社が持っていることが一般的ですが、優先的に情報をいただける関係を数社と築いておくことです。また、弁護士や司法書士、社員の家族、取引先などから相談いただけるようになることですが、特に相続対策に関しては知識を持っていたいものです。
リフォーム事業は、賃貸住宅や貸店舗などを手掛けるとよいと思います。今までは、スピードとコストが選択される大きな要因でしたが、ワンルームや2DKを1LDKにするといった間取り変更のリノベーションが中心になっていくと考えています。中古マンションがリノベーションされ、再販されていることが一般的になってきましたが、賃貸住宅でも間取りのニーズがどんどん変わってきているからです。不動産管理を行う会社とネットワークを組むとよいと思います。
民間の建築請負業は、情報をいかに早く得るかが受注のポイントです。そして、その早い時期に情報を持つ可能性が高いのが不動産関連の方々ですから、商圏内の地元不動産関連ネットワークの構築することをお勧めします。