共感と応援が企業の軸になる
3月に大変な事件に巻き込まれた大リーグの大谷翔平選手。それでも大谷選手の生き方には、学ぶべきことがたくさんあります。日本人のベースにある考え方や、生き方を実践していると思うのは、私だけではないでしょう。過去に日本の偉人と言われていた人たちは、大谷選手と同じ生き方をしていたと思うのです。しかし、残念ながら、日本人の生き方が変わり、こうした人が少なくなっていることも確かで、それゆえに目立つのでしょう。
大谷選手は、思想家の安岡正篤氏が言う「一隅(いちぐう)を照らす」をプロ野球という世界で実践していると感じています。ほかのことに目を移すことがないのは、「今を生きること、できること」に集中しているからだと思います。また、自分ができることは全力で行ない、他人と比較することもないし、他人を評価もしない。運や天を大事にし、味方になっていただけるように行動する。例えば、ゴミを拾う、道具を大事にする、ロッカーやトイレをきれいにしているなどで、運が付くわけです。私がここで書くまでもなく、皆さんも十分に理解していると思います。だからこそ、ほとんどの日本人が共感するし、心の底から応援するのです。
企業や組織も同じではないではないでしょうか。どのようなビジネスを行なっていようが、共感と応援を手にしている企業は、業績を伸ばし安定しています。もちろん、それだけの努力をしているのでしょうが、商品の差別化や資金力だけでは、継続して業績を伸ばすことはできません。日本の有名な大企業が問題を隠蔽し、不適切な行動を許しているようでは、消費者から共感も応援もしていただけないのは当然だと言えます。一方、小さいながらも「日本で一番大事にしたい会社」に出ている企業や、地元で愛されている「神社・寺」、スポーツや学業で社会人を育てる教育機関など、「一隅を照らす」を実践している企業や組織はたくさん存在します。
例えば、ディズニーリゾートという組織は、清掃の徹底からお客様対応力まで消費者を感動させていますし、東京駅の新幹線清掃をするTESSEI(JR東日本テクノハート)の劇場型の新幹線清掃は、世界中のお客様から称賛されています。学校でも、「慶応中等部の野球部」や「花巻東の野球部」といった応援されるチームとして有名なのは、スポーツの技術を磨くだけではなく、安岡氏が勧める「人間学」を学んでいるからでしょう。どのようなビジネスでも、共感され、応援される組織になることは可能であり、「ひとり不動産コンサル」を目指す私も、そうなれるように行動していきたいと考えています。
地域で活躍している工務店や住宅会社を経営する皆様にも、「一隅を照らす」を実行に移すことをお願いしたい。それが、「地域の安全を確保する」という社会貢献であり、存在価値であると思うからです。皆さんの商圏には「潜在しているお困りのお客様」がたくさんいるはずです。何より、地震大国日本において、「もしもの時に」工務店様は絶対に必要なのです。阪神・淡路大震災の時、木造家屋に生き埋めになった人たちを誰よりも早く助けるべく動き出したのは、工務店で働く人たちなのです。道具もあり、どういう順番で木材を動かせばいいのか、生存空間を確保できるか、よくわかっているからです。また、築30年を超える住まいは断熱性が確保できておらず、寒いだけでなく、地球環境にも悪い影響を及ぼす家が山のように存在します。解決できるのは、構造から理解している工務店様しかいないのです。
地域に住む人たちに共感いただき、応援していただける工務店様になることは、地域の皆様にとっても安全を確保できる唯一の方法ではないかと思うのです。そのためにも、技術を磨き、人間学を学び、行動に移せる人を育てることではないでしょうか。そのような工務店様になるために、住まいるDesignが一緒に行動し、応援させていただきたいと考えています。