田舎に住むなら、2拠点居住がおすすめ

 私が10年前から言い続けている「2拠点居住」が増えつつあることは、時代の流れではないかと思います。コロナ渦によってリモートで仕事が可能であることがわかり、通勤をする時間が大幅に減少しています。事務所への出社が、週に1、2度でもよくなっている会社、週休3日の会社、副業可能な会社などが急激に増えています。ネット販売、宅配ビジネスが注目され、リアル店舗も減っていくのではないでしょうか。そのような背景の中でも、地方都市の人口減少は深刻で、移住計画策を推し進めています。思ったように移住が進まないのはなぜでしょうか?

 高度成長時代は、仕事がたくさんある大都市近辺でないと通勤できないため、無理してでもできる限り近くに住居も構えました。ですから、地方都市は、仕事を用意することが解決策になると、工場や大学の誘致などの施策を行ってきました。しかし、20年もすると工場は海外へ、大学は入学者を求めて都心のキャンパスに戻ってしまう。地方都市に残った施設は無残な姿をしていることが多く、箱だけが残って、人が寄り付かないスペースになっています。現在の日本では、どのように解決していったらいいのだろうか。その解決策の一つとして、2拠点居住を公的に認め、税金や補助金など改正すべきと考えています。

 子育て環境も、老後の生活環境もそろった地域はたくさんあります。冬は温かく過ごしたいし、夏も涼しく過ごしたい。光熱費を抑えることもでき、地球環境にもよいに決まっているのです。ただ、そのような地域は、今は交通も不便だし、買い物も遠い、病院も少なく、なんといっても通勤や通学もしにくい。近所に子供が少ないから、友人もできないのではないか?などと考えてしまいます。しかし、あと10年もすると、車は自動運転になり、ネット販売と宅配で買い物もできる。病院もリモートで診察ができ、高校や大学は通信に変わってくるでしょう。通勤や通学といった移動する時間を、好きなことをする時間に変えていく時代になるはずです。今後、会社や職場や、学校に縛られることなく、生き生きできるライフスタイルに変わっていく人たちが増えていくと考えています。

 首都圏でも、90分ほど特急や新幹線に乗れば、驚くほど田舎に行くことができ、中古住宅ならば数百万円で手に入ります。東京で3LDKの中古マンションを購入すれば5,000万円以上になってしまいますが、それを1LDKに変えれば、その差額で田舎の不動産を購入することができます。生活費も東京にいるほどかからないので、2拠点持っても経済的にそれほど変わらないのです。

 例えば、「住みたい田舎ベストランキング」で首都圏ナンバーワンとなった千葉県いすみ市は、東京から特急で80分、高速道路の利用でも90分程度の距離で、気候は夏涼しく、冬温かい。海まで歩け、サーフィンや釣りは一年中楽しめ、漁港では毎週、朝市を行っています。車で10分も走ると広大な農地が存在し、ゴルフ場もたくさんあります。不動産も中古であれば1,000万円以下の物件はごろごろあります。びっくりするほど大きな庭や屋根に太陽光発電を設置すれば、生活するうえで光熱費などをまかなえます。また、その地域オリジナルのイベントがたくさんあり、それに参加するだけでも楽しい。九十九里浜の地引網や大漁祭り、増田明美シティマラソンもあります。

 移住といった大きなハードルではなく、週末だけ、大型連休だけ、夏(冬)だけでも居住するのです。別荘とは違い、地域に入り込むことができれば、楽しい時間を過ごすことができます。子どもには、大都市とは違う自然環境(花、木、海、山、虫、動物)を体感させることができ、情緒を育むことができるはずです。また、首都直下型地震が叫ばれる中、もしもの時に、避難所ではなく、自分の住まいに遠慮なく住めるのです。もちろん、田舎が被災したら、その期間だけでも都心の自宅で過ごせば良いのです。

 行政や国にとってもメリットがあります。東京一極集中を解決しようと思っても、学生を含めた若者は、刺激が欲しくて大都市東京に魅力を感じるのです。今のままでは、未婚率は上がり、少子高齢化は止めることもできない。2拠点にすれば、どちらのメリットも享受でき、刺激のある生活もできるし、ゆったり落ち着いた時間も持てるのです。なんといっても、若い人に、週に数日住んでもらうだけでも、地方都市を活性化するはずです。話題になっている空き家問題も大騒ぎする必要がなく、震災時の公助も、あのようにドタバタしなくていいのです。これからの日本人は、1本の足ではなく、2本の足で歩くのです。地震大国である日本では、本社機能を2か所にしている企業が増えているではないですか。

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