マニュアルを超えた対応

日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)の技術者講習会の講師として、大阪に行ってきました。新大阪駅周辺のビジネス街やホテルへの案内は、地下や一階だけでなく、二階にも車寄せがあり、出口がとても多く、さらに、在来線が高架ではないため、改札口からロータリー、目的地のビルに行くまで迷ってしまいます。そのような中、帰りの新大阪駅での出来事です。

私の担当の講習会が終わり、午後2時過ぎ、新大阪駅の東口において、急いで自動販売機で新幹線券と乗車券をカードで購入しました。領収書、カード明細、チケット2枚を受け取り、一般改札を抜け、新幹線口の改札を抜けようとしたら、新幹線券が見当たりません。時間が迫る中、「一般改札で2枚入れてしまい、取り忘れたか?」と、一般改札口に戻って改札担当に相談しました。機械の中を見てもらいましたが見当たりません。担当者は、「もう一度購入いただき、チケットが出てきたら払い戻します」の一点張り。時間もなく、みどりの窓口へ行き、同じように相談しましたが、やはり購入するしかないと再度購入したのです。

その時、「改札は見てもらったのですよね。外の自動販売機は見ましたか」と言われ、「外には出ていないので、見ていない」と答えると、「少しお待ちください、見てきますね」と直ぐに行動してくれ、自動販売機から帰ってきたのです。「ありました。自動販売機の横に忘れたようです。良かったです。セーフです」と弾けるような笑顔で言うのです。払い戻しを受け、お礼をして新幹線に飛び乗ったのです。マニュアルを超えた行動に感動を覚えました。窓口担当の「松原さん」ありがとう。新幹線の中で、このお礼は手紙もしくはメールで伝えなければならないと思い、自宅に帰った後、JR西日本のお客様相談窓口にお礼、感謝のメールをしたのです。

JR西日本の新大阪の従業員は、お客様への対応を「今どうすべきか」と自然と身に付けているように感じるのです。駅長をはじめ、上層部の考え方が最先端まで伝わっているのからではないでしょうか。驚くほど多くのお客様が訪れる駅中において、一人ひとりのお客様の立場を見ることができ、素早く対応できるのは、教育、研修だけでなく、心の学びを重要視していると思われるのです。

お客様と取引やビジネスを行う上で、「信頼」が最も重要なことは言うまでもありません。お客様の信頼を得るには、一般的には、繰り返しの対応や行動が必要となり、時間を要します。しかし、一瞬でも感動を与えるような行動があれば、大きな信頼を得ることが可能ではないでしょうか。取引やビジネスでは、信頼をした人と付き合いたい、購入したいと考えるはずです。しかし、信頼を崩すことは一瞬の行動であることも忘れるわけにはいきません。

私たち工務店は、お客様から見ると一生の中で何度もない大きな金額を扱っています。もちろん、対応する期間も長く、知り合ってから数十年単位でお付き合いすることになります。その中で、お客様の置かれている状況、立場を理解した上で対応できていますか。契約時や引き渡し時の一時になっていないでしょうか。感動は、起こそうとして起こせるわけではないこともわかります。しかし、些細な行動で呼び込むことがあると思うのです。簡単ではないこともわかっていますが、できる人は必ずいるということであり、感動を得たいお客様はたくさんいるのです。また、経営者だけでなく、最先端で接する営業や監督、アフターサービスが最も大事であり、マニュアルを超える対応が求められます。

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