今こそ、耐震・断熱リフォーム
私の住まいは、築30年を超えた「バブル時代が終焉した時期」の建物です。バブル時代は、日本国中が建築ラッシュに沸き、年間着工数は150万戸を超えた年が何年もありました。バブルが崩壊した年でさえ、130万戸を超えていたのです。そのような時代に家を建てた世代が60歳を超え、定年退職を迎えようとしています。彼らは、これから住宅にいる時間が急激に増え、その住まいをどのようにしようとしているのだろうかと。
当時の住宅は、今どきの住まいに比べて、断熱、気密性が悪く、換気も不十分な「寒い家」であり、耐震性も確保できていない「弱い家」が今も多く残っているのが現実です。おまけに、通気や防水処理も不十分であり、劣化対策も講じられていない、「短寿命の家」と言えます。しかし、住まいを構造から改善すれば、安心、快適、長持ちもするのですが、構造から修繕する人は少なく、うわべのリフォームに終始しています。また、「体が動くうちは」と、旅行やグルメ、車やゴルフといった趣味に夢中になる人も多いようです。もちろん、価値観が違うのでそのような行動は否定できませんが、住宅建築を仕事としている私は、やはり、建物をもう少し大事にしてほしいし、快適な時間を過ごしてほしいのです。
そこで、まずは自宅からと、構造から見直し、半年かけて耐震・断熱リフォームを実施中です。5年ほど前に、外部の修繕と太陽光発電を設置しましたので、基本的に内部だけを行っています。まず、小屋裏と床下は、気密性を確保するためにウレタン断熱の吹付を行い、屋根断熱の空気層とその換気を強制(換気扇)で行っています。空気層を確保するのにずいぶん苦労しましたが、ノウハウの蓄積になったことも確かです。基礎断熱も、床下に潜る(床高が低い)のは危険と感じ、外壁から50㎝ほど床材をはがし、施工しました。準備に時間はかかりましたが、吹付工事はたった一日です。
壁がもっとも重要ですが、一階の天井を一部、野縁からはがし、既存の壁の上に付加断熱をしています。2階の床材まで張り伸ばし、気密テープを丁寧に施工していきます。床や天井材を一部はがしたのは、1階の柱の上下や土台、梁を金物補強し、耐震性を付加するためで。また、既存の壁を残したのも、雑壁耐力を期待したのです。窓は、30年前とはいえ、樹脂サッシの遮熱ペアガラスを採用していましたのでそのまま利用し、玄関ドアを断熱ドアに交換しました。窓は気密モール材が傷んでおり、今後修理をしていくつもりです。それでも不十分と思い、ハニカムブラインド(断熱、遮光)を採用し、窓との空気層を10cm程度確保しています。
そして、最も重要なのが、換気システムです。全館を一台の熱交換型システムで行っていますが、ポイントは、ダクトによる空気の流れを計画できるかです。空気が淀むことのないようにしなければならないからです。これがノウハウの一つであり、見に来ていただきたい。それが最もわかりやすい。浴室やキッチンは、予算と工期の都合上、まだ手が付けていませんが(窓や壁の断熱改修未施工)、少しずつ修繕し、居心地の良い快適な住まいを目指しています。それでも、32坪の2階建ての家が、全館換気システムによりエアコン一台で冷暖房が済んでいますし、太陽光発電の余剰電力販売で、年間光熱費はほとんど無料になっています。夜10時に23度の室内が、8時間たった朝6時でも18度(外気温1度 2月24日)までしか落ちない状況です。耐震・断熱リフォームの途中ですが、取引先や友人からの要望があり、体験館として利用できるようにしています。いずれ一般公開をしていこうと考えています。
耐震・断熱が不十分な既存住宅はたくさん存在しており、費用対効果を明確にすることで、私たち住宅関係者にチャンスは存在しています。お客様は、「お金はない、ない」と言いますが、20年から30年も我慢し続けるのでしょうか?これから家に居る時間は、定年退職するまでの仕事をしてきた時間以上に長いのです。原油価格もどんどん上がり、地球環境にもよく、国の政策でもあり、今の時代の流れなのです。まずは、自分の家を改修してみませんか?笑顔デザイナーがコンサルティングをしますよ(笑)。