会社と会社をつなぐ

40年以上にわたり不動産、住宅業界に居たこともあり、人的なネットワークを築けたことは、私にとって大きな財産になっています。しかし、時期を逃すとせっかくの財産が劣化することも理解しています。N社時代は、上記の業界で役に立つ能力を身に付けることに注力していたこともあり、人的なネットワークは、建材メーカーや販売店など、どちらかというと現場から離れていたのです。いずれ千葉県東金市に永住すると決めていたことと、起業したいという思いがあったので、住宅会社の社長としての出向を受け入れ、直近5年間は、東京の城東と千葉エリアに絞って、現場に近い人たちとのネットワークを築くようにしてきました。意識していたこともあり、3年間のキャリアでそのような現場に近い人的なネットワークができ、上流から下流までつながる人的なネットワークが出来上がってきたのです。

大きく業績を伸ばしている会社組織ほど、さらに伸ばすために手を打ちます。新たな営業所を出すだけでなく、M&Aによって拡大していきますが、取引先や人材、協力業者、商品、仕組みなどをどうしても不足と感じ、それらが課題の一つになります。城東と千葉エリアは、これからも世帯数が伸び、マンション分譲よりも戸建て分譲のテリトリーであると認識されています。大手はもちろん、東京の分譲会社だけでなく、横浜や埼玉の会社も次のエリアとして進出を考えています。それらの会社同士を結び付けるために動きながら、推奨する商品や仕組みを取り入れていただいています。

分譲会社と施工専門会社をつなぐことができれば、推奨商品の標準化や仕組みをお願いしており、実施していただけます。他の施工会社にも推奨商品を扱っていただくことにもなり、自然と広がっていきます。しかし、ビジネスですから、「信頼と与信」はどうしても切り離すことはできないと考えています。会社と会社をつなげたことにより、トラブルに巻き込まれるケースがあるからです。「すでに取引した会社」であり、その時の対応が重要なポイントであり、少しでも気になることがあればマッチングできないし、WINWINの関係にならないと思っています。これまでに、数社が私の縁を活かして取引を始め、喜んでいただいています。

人間も同じですが、まずは「縁を作る」ことを大事にしながら、「縁を活かす」ことではないでしょうか。せっかくの「縁」を縁と感じずに放置してしまうのは、あまりにももったいないですね。ほとんどの縁は、「活かす」ことができるものですが、活かせないのは「面倒」「役に立たない」と一方的に考えてしまうからです。また、「縁を作る」を一から自社で行うと、コストが非常にかかります。例えば、アポ取り電話やメール、講演会の開催などを行う会社もあるほどですが、やはり「紹介」や「口コミ」が重要ですよね。「似たような考え」「経営方針に共鳴する」といった会社が集まってくるから不思議です。

私の場合、「住まいるDesign」のホームページを事前に読むことをお願いしています。そうすることで、お互い「縁を作る」べきなのか、判断できるからです。「自社の業績貢献」だけを優先する会社や人たちは、私自身が応援したくなくなるので、「縁を作る」関係まで行かないですね。会社には必ず課題があります。目標やビジョンを達成するために、今置かれている現状はその手前にあるから当然です。その課題をどのように解決していくのか、社内だけで解決できることもあれば、外部の力を借りなければならないこともあります。その外部の力を借りるためにも、「縁を活かす」ことを勧めます。最近の縁だけでなく、数十年前の縁も利用するといいと思います。

起業したこともあり、30年以上前の部下から連絡をいただくことが増えています。ほとんどが同業他社へ就職をしているからか、N社を退職したとの情報を得て、縁を活かそうとしているのです。そこで、上記のエリア、内容であれば、一緒に取り組むようにしています。会社の課題だけでなく、個人的な相続案件なども来るから不思議ですね。