隣地の荒れ地をどう活用するか
内山さまとの縁は、「M社員の父親」からの紹介です。建築関係の仕事をするM社員の父親が、内山さまと親戚関係であり、自宅のリフォームや修繕に関しては「M社員の父親」に相談していたのです。私はM社員の上司だったことがあり、父親とも面識があったことから、相談に乗ることになったのです。話を聞くと、道路を挟んだ隣地は、十数年前は畑で利用していましたが、現在は何も利用していない荒れ地となり、雨水がたまり、雑草が伸び放題と、維持管理に困っていたのです。しかし、前面道路は砂利道ながら公道になっており、一部セットバックは必要ではあるものの、建物を建てることのできる敷地なのです。さらに、アパート専門のD社が、しつこく営業をしており、初めての賃貸住宅経営をすべきか悩んでいたのです。
マーケティング調査すると、東京駅へ直通の快速電車が停車する駅に徒歩12分、スーパー、クリニック、市役所、コンビニ、郵便局などが5分以内に存在しています。裏通りといっても、地方都市の中心部に近い立地のため、賃貸住宅に向いた土地です。また、一人用の賃貸住宅は多くあるものの、ファミリー向けは不足している状況です。残念なのは、前面道路には上下水道やU字溝がなく、舗装もされておらず、敷地も道路より低いため雨水が侵入しているのです。
そこで、敷地の状況を整備する費用、建築費用、賃料相場、駐車場代相場などを踏まえて、メゾネット型の2LDK4戸と駐車場10台という利回りよりも安定性を重視した提案を行いました。D社との差別化を意識したのもありますが、メゾネット型の固定階段付き大型ロフトは、その地域には存在していないのです。「M社員の父親」への信頼度は大きく、内山さんにご決断いただき、敷地の整備工事を「M社員の父親」に、建築は私がいたN社で受注することになったのです。数か月後、整備工事が始まり、それから半年後には引き渡しをすることができました。
今回は、お客様が土地の維持管理に困っていたこと、リフォームや修繕工事で信頼を得ていたこと、受注する側が得意な分野をお互いに補完しあったこと、地域のことを良く理解していたこと、金融機関が融資に積極的だったことなどが受注に結び付き、お客様に喜んでいただけたのだろうと思います。入居募集も地元の仲介会社が行うと同時に、案内時には私が立ち会って建物の性能の良さを伝えしました。結果、早期に入居者も決まり、駐車場も近隣の人に貸し出すことができたのです。なんでも一社で行ってしまう大手賃貸住宅会社と違い、地元の業者が協力しあったことが、ことが上手く運んだ要因だろうと思います。しかし、この協力体制が構築できているかが、試されると思うのです。
土地活用の依頼があった時、自社の業績につながるかどうかを考えて対応しないようにしています。まずは、事業をするお客様にとって何が最も良いのか、リスクがないのか、メリットがあるのか、その中で自社の役割を考えます。というのは、最終的な責任を取るのは事業主であり、メリットが薄ければやるべきではないのです。世帯数が減少している、需要と供給が崩れている、投資金額の割にはリターンが少ないなど、そのような土地活用も存在しているのです。その場合は、不動産投資を断る勇気を持って対応します。「借上げ保証」「特殊な建築物」「ワンルーム賃貸」などは、10年後、20年後の状況を想定していただきたいと思います。 そのようなリスクはあるものの、私は消費者が持っている不動産を活用することを訴えています。相続対策もありますが、土地や建物は活用してこそ意味を持ちます。持っていても、荒れ地、空き家では、その不動産がかわいそうだと思ってしまうのです。日本は狭い国土であり、山岳、山林が多い中、建物が建つ土地は、最も重要な資産であるのです。売ることができなければ、運用していただきたいのです。簡単ではなく、それなりのリスクも負うことになりますので、専門家に相談してほしいのです。もちろん、住まいるDesignも最善の提案をします。この日本という環境では、空き家、空き地、荒れ地のままにしておいては、あまりにももったいないのです。