30歳代、初めて家をつくる

渡海さん夫婦と会ったのは数年前、ご主人が同じグループ会社に勤務しており、住まいのことを相談いただいたことがきっかけです。ご夫婦は子どもに恵まれ、小学校の長男と幼稚園児の長女、4人家族です。職場結婚して数年、縁あって奥様の実家でマスオさん状態になっていましたが、ご両親からそろそろ出て行ってほしい旨を言われるようになったため、住まいを持とうとなったようです。

土地もない、お金もない、代表的な30歳代前半のご夫婦。若い時に結婚し、子ども2人を育てることで余裕がないのはよくわかります。私の子供も同じような状況ですから。それでも、家族みんなに会ってみると、子どもたちもかわいいだけでなく、なつき始めたこともあり、何とかしなければと考えるようになったのです。

まずは、土地探しと同時に、融資がどの程度借りられるのか、いくらの返済までなら生活ができるのか、それを何度も伝えて夫婦で話し合ってもらいました。つぎに、土地価格もそれほど高くない地域の小学校区内が希望であったことから、各不動産会社を回り、数件の土地紹介をいただいたのです。私の住まいから近いこともあり、週末には一緒に見て歩くようになりました。住宅会社へ一括で販売する不動産会社が多いこともあり、土地だけ売ってくれるケースは少なく、建築条件付き土地販売ばかりです。しかし、こまめに足を運ぶと、まだ住宅会社へ話していない土地も少なからずあります。1カ月ほどたって、希望に近い有力な候補地が見つかったのです。不動産会社と交渉し(土地決済の時期)、事情を理解していただいたことで、話をまとめることができたのです。そして、プランをつくり、見積金額を出し、銀行融資を確定させるまでを短期間で行いました。土地販売会社に資金を支払う時期が遅れてしまうからです。なんといっても、自己資金がほとんどない状況ですから。ご夫婦にも協力いただき、間取りは2回ほどの打ち合わせで合意いただいたのです。

1階は、玄関収納、ファミリークローゼット、ペニンシュラキッチン、23畳のリビングダイニング、吹き抜けの勾配天井など。2階も大きな寝室、固定階段ロフト、ウオーキングクローゼットなど、4人家族には十分な大きさにできたのです。着工、引き渡しの工程が確定してからは、仕様、設備、内装、外装選びはご夫婦でしっかり話していただき、丁寧に選択していっていただきました。

数か月後、いくつかの土地に関するトラブルの乗り越え、無事に引き渡しをすることができました。自己資金がほとんどない中ではあったものの、ご主人が高校卒業してから永く勤続いただき、それなりの収入があったこと、奥様が生活費を最小限にすることに協力いただいたこと、親も含め自宅を持つことを応援してくれた大人たちがいたこと、土地探しで強い要望を出さなかったこと、そして、ご夫婦ともに素直であり、私を信頼していただけたことが、上手くいった要因ではないかと思っています。引っ越しが済んでから、大きなリビングに大きなテレビモニターなどの家電をそろえ、子どもたちも大きな声で遠慮なく動き回れ、なんといっても奥様の笑顔が見られたのは良かったとご主人は言います。家族の幸せを感じる笑顔を見ることは、父親にとって最高の喜びなのです。

日本の社会問題として、少子化があります。いろいろな理由はあるでしょうが、幸せな家族が増えること、それをもっともっと広く告知することではないかと思うのです。夫婦で協力しながら、子どもを育てることが人生の幸せの基本だと思える世の中になれば、必ずや少子化問題が改善すると考えています。「面倒だ、大変だ、自分の時間を制限される、やりたいことができない」という人がいますが、それでは人生の幸せは何ですか?と聞きたいのです。彼らが幸せと考える姿に、このような幸せをプラスすれば、より幸せになりませんか。住まいづくりの目的は、家をつくることではなく、家族の幸せをつくること、笑顔をつくることであり、あくまでも家づくりは手段なのです。住まいづくりを一生懸命取り組むことが、たくさんのお客様の笑顔を生み出し、少子化問題を解決できると考えています。

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