投資用アパートを提供

千葉の総武線快速が止まる駅から徒歩10分、敷地延長(旗状の敷地)の土地の有効活用を依頼されたのは、貸店舗建築で発注いただいたS住宅様からです。300坪程度ある土地でありながら、前面道路には6m程度しか面さず、勾配のある状況だったのです。私が木造専門施工会社の社長だったこともあり、木造2階建ての共同住宅で企画、市場調査をすると大きめの1K(25㎡程度)であればサラリーマンのニーズがあることがわかり、12戸のプランにしたのです。S住宅様とは、何度か取引していたこともあり、設定家賃や建築費コスト、収支計画を考えて、建築することをご決断いただいたのです。設計段階で敷地内勾配をどのように吸収するか(設計GLの設定)、避難通路の確保、近隣交渉など、難度の高い壁がありましたが、それらをクリアして引き渡すことができたのです。

引き渡しの業務と同時に、プロジェクト責任者である「○○専務」へ「この共同住宅はどのように活用するのですか」という質問を投げかけると、いろいろな提案をする中で「買ってくれる投資家がいれば、売ってもいいし、オーナーとして持ち続けてもいい」というのです。そこで、販売価格、表面利回りを決め、1か月という約束で「販売協力」をすることになったのです。もちろん、宅建業を持っていましたので正規の手数料をいただく約束もしていました。

アパートへの投資家はたくさんいますが、金融機関の立場では「優良な企業」への融資を最優先で行いたいと思っています。優良な企業ほど本業の運用資金や設備投資への融資を十分にしており、他の融資を考えることがあります。金融機関はそのような企業や個人を抱えているものです。そこで、ビジネスマッチングを提携している金融機関に相談すると、いくつか企業をピックアップしてくれたのです。新築物件で、担保価値もあり、表面利回りも悪くはない。総融資金額も手ごろであり、再販するのにそれほど苦労することはないと、金融機関が判断すれば、スムーズに運びます。1週後には、数社に現場案内を行い、その中の1社から購入の意志をいただいたのです。それだけ金融機関の力は大きいのです。

課題はいくつかあり、その一つが募集時期の遅れで、入居者が全く見つかっていなかったのです。購入者がそれに対して大きな不安をもっていることは確かであり、募集の応援をすることにしたのです。S住宅様が提携しているS社が募集、管理をしていることから、面談を実施し、状況(お客様の動き、家賃設定、適正な時期など)の確認を毎週行うことにしたのです。二つ目が隣地の境界画定です。近隣の一人が、近くに住んでおらず、なかなか同意を得ることができない状況だったのです。売買契約後、引き渡し時期を1か月ほど延長することにはなりましたが、全戸入居、隣地の同意書を取得することができ、無事に引き渡すことができたのです。結果、想定通りの利回りと融資ができ、購入者、S住宅様、金融機関とも喜んでいただいたのです。

土地を購入した場合、与えられている容積率を十分に使って、賃貸住宅をつくることが多い。それは建築床面積(販売単価影響)あたりの土地価格を低くしたいからです。容積率200%エリアとなると、3階建て以上になることがほとんどです。結果、土地の単価が安いエリアでは、建築価格比率が高くなり、表面利回りも低くなってしまうことが良くあります。今回も建築費用をできる限り安くする、また避難通路を確保しやすくするために、2階建てにして、土地と建物の総原価を抑えたことが優位に運んだと考えています。これにより、購入者だけでなく、金融機関が融資をしやすくすることもできたことだと思っています。分譲住宅などと比較すると、売主と買主だけでなく、入居者や金融機関などの立場も大きく影響するのが、投資物件の難しいところです。しかし、相続対策も含めると、不動産投資が住宅や不動産業界に占める割合は、これからも増えていくと考えています。

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