笑顔デザイナーが地域に入り込む
定年退職してから起業したこともあり、地域の皆様に「一級建築士事務所住まいるDesign」を知っていただくためにも、田間区 (千葉県東金市、人口約7,000人)の役員を引き受けることにしたのです。気軽な気持ちで受けたのですが、これが意外と時間を取られます。田間地区は、1区から3区までの区長と区長代理を中心に運営されており、その下に田間地区コミュニティセンター役員、田間地区福祉協議会、田間神社総代会、民生委員、田間地区スポーツ協会があり、さらにその下部組織として地区の敬老会、青年会、公民館長などが存在します。また、田間神社の禰宜(ねぎ)組織なども地域の活性化に動いているのです。毎月のようにイベントを開催し、主催者は変われども、月に数回の会合を持つことになっています。結果、会合の後の飲食をともにすることになり、役員仲間は顔を覚えることになります。田間地区の中に、小学校、中学校、私立高校も存在していることもあり、学校や病院、企業、道の駅、農業組織などとも協力体制を築いています。
戦後から、隔年ごとに「祭り」と「体育祭」を行うことになっており、今回、私が役員として体育祭を主催することになったのです。コロナ禍、大雨で中止になり、6年ぶりの開催となったのですが、参加者がいるのか、盛り上がるのか、不安が残ることもあり、内容を大幅に変えることにしました。そこからが大変で、運営側、参加する側、費用負担する側の意見を調整するのに何回も会合を重ね、決めていきました。「地区対抗戦は、綱引き、リレー、バブルサッカー」に絞り、誰もが参加できる「パン食い競争、借り物競争、玉入れ」など、多くの競技を組み込みました。また、いつでも、誰でも参加できる「フリースロー」「ディスゲッター的あて」を体育館で行い、集客できるようにしたほか、消防自動車体験や子ども消防団写真コーナーなどもつくり、子どもの参加を促すことを計画しました。開催時間は9時から12時半までと、今までより2時間ほど短縮させ、早い時間に撤収できるようにしたのです。結果は、予想以上の盛り上がりを見せ、撤収も早く、関係者の負担も大幅に減らすことができたと、反省会での喜びの話です。2年後にまた開催することになったのです。
N社時代から、大きなイベントを担当することが多く、「どのように参加者を増やし、喜んでいただけるか」を考えてきたからか、このようなイベントはあまり苦になりません。地域へ役立つために行動をしてみたかったこともあります。そして、新しいこととして、自由参加のコーナーをつくり、時間が空いているときに参加いただけるようにしました。また、小さな子どもたち大好きな働く車の試乗や制服の撮影も用意したのです。自由参加の競技は、行列ができるほどであり、小さな子どもから大人まで喜んでいただいたのです。
しかし、田間地区には約7,000人の住民が住んでおり、東金市内では唯一、人口が増えているエリアなのですが、参加者は役員も含め400人程度なのです。参加率が非常に低いと感じています。確かに、高齢者も多く住んでいますが、子供たちもそれなりに居るのです。子どもが参加すれば、いやでも親たちは参加すると思うのですが、この集客が十分にできていないのです。そういう私も、子どもたちが小学生の時は参加していましたが、この30年参加していませんでした。次回は、参加率を上げるためにあらゆる工夫していかなければと考えています。まずは、なんといっても告知活動でしょう。回覧版で二か月前に一度回るだけであり、青年会に丸投げ状況ですから、小学校や幼稚園、保育園などにもチラシを置いてもらい、区内のお店にも協力をいただかなければならないでしょう。とにかく知っていただきたい。開催日も慎重に選ばなければならないでしょう。
地域に入り込むには、相当の覚悟で臨まないとご迷惑をかけることもあると知ることができました。できる限り、参加すればいいと思うだけでは、前に進まないのです。「住民との親睦を深めたい、ここに住んでよかった、防災上安心できる」など、強い気持ちがないと役員は勤まらないですね。しかし、一度中心に入ってしまえば、あちこちから声がかかり、居心地の良い場所にもなります。地域デビューは、あっという間にできるものですね。