不動産、住宅業界の人的ネットワークを活用
施工会社として、不動産会社へ建築物を提供する会社が多くあります。新設住宅着工戸数が減少していることで競争が激化しており、横浜の施工会社が東京だけでなく千葉へ、東京多摩の会社が埼玉、東京都心へ、千葉の会社が横浜や埼玉にまで、従来のエリアを超えて進出しようとしています。お客様である分譲会社のエリア展開に合わせていくのが、残念ながら商品やビジネスモデルはそのままで、単純にエリアを拡大してしまうのです。結果、新しいエリアでの現場監督や大工職がいつも不足するといった状況に陥ります。着工戸数が減少しているのに、現場では引き抜き合戦が起きるほどです。
大都市の分譲会社(不動産)は、土地仕入れ、企画(販売・商品)、設計(プラン)、販売までは行いますが、施工を自社で行うことは少ないため、両社のビジネスが成り立っていました。そこで、ビジネスマッチングを数社へ提案しています。例えば、横浜へ進出したい分譲会社に横浜を施工エリアとしている(強い)施工会社、千葉での施工力をつけたい施工会社に協力施工店(設備や基礎工事)や分譲会社をマッチング。もちろん、考え方や方針、与信が重要であり、最終的にはお互いのチェックが必要ですが、ビジネスグループができれば、私が勧める商品やサービスを取り組んでいただけます。
千葉県で事業を行うS建エステート様は、分譲住宅をメインに30棟程度を供給する不動産会社で、東京の城南エリアへ進出するにあたり、品川区に拠点を出しました。商談の中で依頼があり、建築の施工業者を探すことになったのです。一方、R建設様は横浜と埼玉で事業を行っており、千葉への進出を希望し、協力業者や営業先の紹介を依頼されていました。そして、お互いの特徴や経営方針を理解いただいた上で、一度取引していただいたのです。常時取引するようであれば、私が「推進している商材やシステム」を利用していただいくことになっています。両社とも非常に喜んでいただいています。
AD設計事務所様は、ハウスメーカーの代願事務所として順調な経営をされています。中古マンションのリノベーションを手掛けるにあたり、現場ができる監督を入所させたのです。営業は十分にできるのですが、施工に必要な建材を提供してくれる会社を探してほしいとのことで、一戸建住宅を得意としているT建材様を紹介し、マッチングしました。T建材様も今後マンション事業を開拓したいと考えていたのです。お互い非常に喜んでおり、WIN-WINとなっています。
住まいるデザイナーとして、30数年以上の住宅業界の経験があり、この業界の人的なネットワークを持っていることが差別化の一つであると自負しています。建材メーカー、問屋業、建材販売店、プレカット工場などから、設計事務所、住宅会社、施工、設備はもちろん、都市開発、不動産、仲介、不動産管理会社などもテリトリーになっています。しかし、東京から千葉のエリア限定であり、それが不動産業界、住宅業界の特徴なのかもしれませんが、他のエリアでは全く力を発揮することができないのも事実です。それでも、人的ネットワークは、この業界でのビジネスを行う上で重要なポジションであることは言うまでもありません。いろいろな業種が各々力を発揮してネットワークを組まないと、お客様を満足させることができない特殊な業界だからです。
その人的ネットワークづくりは、できる限り現場に近づくことと思っています。お客様や地主様に会い、建材の開発者の思いを知り、施工専門会社の経営者と会うことです。また、住宅会社の事務所や建築現場に赴き、課題を見つけ、解決策を一緒に考えることから、信頼できる人的ネットワークをつくり上げることができると信じて行動しています。今後も人的ネットワークをつくり、WIN-WINになるビジネスマッチングを手掛けていこうと思っています。