借地から、集合住宅とコンビニへ

十数年前、鈴川様の土地活用のお手伝いをすることになったのは、お母さんが相続した土地について相談されたからです。この土地は、先代から、借地として住宅展示場に活用されていたのですが、展示場が閉鎖されことを受けて、マンション用地として購入できないかとのお話をいただきました。鈴川様は、不動産とは違う商売をしており、その土地の運用について悩んでいたのです。これまでのように借地であれば投資をしなくてもよいが、同じような条件で借りてくれる事業主はなかなかいません。悩んだ結果、建物を建てて賃料収入を得ることにし、数社から提案をもらうことになったのです。

この土地は、3方向道路に面し、メインの前面道路は新幹線の駅に直結しており交通量が非常に多くあります。最大手のD社は、商業施設部門の営業担当が提案してきました。約600坪の土地に、駐車場付きのコンビニとコインランドリーの2店舗を建てる計画で、投資金額は約1億円、借上げ保証は20年、収入は月々約百数十万円です。大手の住宅会社であるS社は、すべて賃貸住宅で、1LDKから2LDKの約30戸と駐車場のプラン。投資金額は4億円を超えており、借上げ保証付きで月々2百数十万円程度の収入であったようです。

私たちが企画した内容は、店舗と賃貸住宅の複合プランです。道路条件の良い交差点に面する場所に単独のコンビニを建て、入りやすい駐車場をとることで賃料アップも狙います。そして、メイン道路から離れた200坪の土地にメゾネット型のファミリー向け賃貸住宅2棟12戸を建てる計画です。アパートビジネスから見ると、隣地にコンビニが存在する、メイン道路から離れることで安全と騒音を解決、車の出し入れがしやすい。コンビニビジネスから見ると、お客様が隣地に存在し、利用者の駐車場がお店に近い場所だけにあり、メイン道路から入りやすいと、双方にメリットがあります。収益も約1億6千万円程度の投資で、月々約210万円の賃貸収入になるようにしたのです。何回か打ち合わせを行い、最終的に決断いただき受注することができたのです。

今回は、木造建築での建築コストの削減、リスク分散(店舗と賃貸住宅)、2つのコンビニを競争させたこと、賃貸住宅のマーケティング調査(ファミリー30戸は多すぎる)を評価いただいたと感じています。不動産投資をする人は、小さな投資、大きな利回り、ビジネス安全性、将来のリスク回避を重視するのは言うまでもありません。大手企業は、共同住宅部門と商業施設部門が分離し、自分の部署のビジネスだけを考えています。お客様の立場で考えれば、複合案が最もリスクを回避できると思うのですが、できなくなっているようです。また、コンビニ会社に家賃競争をさせるほど、立地は抜群であり、宇都宮エリアでは最も売り上げが出ているようです(数か月後報告あり)。アパートも予想以上の賃料で貸せているとのことで、関わったすべての人に喜んでいただいています。

もちろん、数年単位で見ればアパートの空室リスクはあるものの、コンビニからの賃料収入は20年間安定しています。貸店舗だけの投資では、2室のうち1室でも事業が停滞し、撤退するようなことがあれば、大きなリスクになります。借り手側の売り上げが思った以上にならなければ、家賃の値下げ交渉が数年に一度は行われるのです。土地の有効活用は、いくつもの引き出しを持ち、その土地に最も合う建築物を提案できるかです。物流センターやショッピングセンターなど大規模な土地活用は私ができないので、小さな建築物に絞っていかなければならないこと、地主や不動産会社といった情報ルートをもち、いつもアンテナを張ることと理解しています。

土地の有効活用という視点で、建築受注する方法は、ゼネコン、デベロッパー、大手住宅会社などとしのぎを削っています。しかし、笑顔デザイナーでしかできない方法は存在しています。彼らがやりにくい、追客しにくい案件やお客様がいるということです。総取りを目指すのではなく、得意な分野で受注する、他は得意な会社に相談するといったことです。例えば、前面道路が狭い物件や小さな土地では、上記の会社は断り、数部門がかかわる複合施設は社内調整が難しい。新築とリフォーム、木造建築と鉄骨建築などが含まれるものも難しいでしょう。知恵を絞って、笑顔デザイナーが最善策を提案していきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です