二度目の住み替えを応援する

山田様ご家族の住まいに関して相談に乗るようになったのは、私と同じような仕事をしていたからです。住宅会社支援組織の運営を、事務局として取り組んでいたのです。そのような組織の運営する者同士ですから、話題の中心が家族や住まいの話になるのは自然なのでしょう。「住まいのことで困ったことがあれば相談に乗るよ」と話していたら、数年後「主人の実家が、お父様がなくなり、お母様が施設に入り、空き家になっているが、維持管理が大変。草刈りだけならまだしも、雨漏りしているようなのです」というのです。

まずはどうすべきか、休日に視察に行きました。選択肢は、「現状で売る」「リフォームして貸し出す」「建て替えて、住むか貸すか」しかありません。横浜市内ですが、駅までバス便で、第一種低層住居専用地域という場所。自分たちは駅近くのマンションを購入して10年以上が経ち、今後、実家に住むつもりはないというのです。駅から遠く、賃貸住宅としても条件が悪すぎること、住宅としてはとても住める状況でないためリフォームしても大きな費用がかかることもあり、現状での販売を勧めたのです。土地を2区画に割ることで、分譲住宅は可能と考え、専門会社への販売になったのです。建て替えが前提なので、現状有姿での売買になりました。

それから数年後、今度は奥様のお母さまが亡くなり、実家にお父様が1人になってしまい、心配だというのです。確かに、実家の一戸建住宅では、広すぎて不用心であるだけでなく、駅から遠く、利便性が良くないのです。いろいろと考えた挙句、お父様に自分たちの駅近くのマンションに住んでもらい、山田様は、子どもが大きくなったこともあり、もう少し広いマンションを購入することにしました。提案したマンションは、駅から歩ける希少な物件で、趣味のランニングコースやゴルフ練習場、コンサートホールも近く、山田様にとって好条件だったのです。最寄りの駅は当時、新線が開通することから将来性もあり、決断も早かったと記憶しています。引き渡しまで時間があったことで、お父様の住まいの準備ができたことも良かったと思います。数年後、家族が引っ越しを済ませたあとに訪問すると、夫婦とも笑顔を見せてくれたのです。

住宅購入というのは、タイミング、縁といったものが大切であり、その時に相談できる専門家を持っているか、といことではないかと思います。人生において、ターニングポイントがいつ来るかわからないし、想定していた状況と変わることも多いのです。少しでも高く売りたい、安く買いたいと思うものですが、購入していただける相手のビジネスを考えると、着地点(売買価格)が見えてくるし、購入するときは、将来性を見る力が価格を決めるといったことを理解しなければならないのです。

今回の山田様は、自分たち家族の状況をよく理解し、問題解決案を探し出したことで、予想以上の決断力をつけたと思うのです。欲をかいて、少しでも高く売りたい、安く買いたいなどと言っている間に、タイミングを逃すケースをたくさん見てきています。また、夫婦の仲が良く、お互いの実家のことを良く知っていること、理解していることで、自分のことのように考えているのです。だからこそ、どのようにすべきか、決断するタイミングなど意見が合うのでしょう。人生の決断は、意見が合うと勇気が持てるものです。

人生の中で、住宅の購入や引っ越しをする、永住すると決めることなど、大きな決断を必要としますが、その決断が人の成長につながると思っています。それは、自分の意志で人生をコントロールするからであり、その決断によって自分の人生に責任を伴うからです。人生における自己責任といったことが、自然と身に付くことになるのではないでしょうか。住宅ローンを数十年かけ返済する責任、数十年も維持管理を続ける覚悟、近隣との付き合いなども大きく変わってきます。そのような家族をたくさん見てきましたが、そのほとんどの人が笑顔の中に、自分に対する自信が見えてくるのです。

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