駐車場を賃貸アパート提案
N社に勤務していた時、「街かどモデルハウス」を展開し、注文住宅の受注をしていました。立地の良い、そして目立つ土地があると、近隣の建て替えを促進するために、誰でも見学できるモデルハウスを建築し、1年ほど活用した後に分譲住宅として販売していくというスキームです。JR鶴見駅から徒歩4分ほどの奥まった立地に建てた3階建てのモデルハウスも、1年ほど経過して販売へ動き出そうとしていたのですが、同時に30坪程度のモデルハウス用の駐車場も販売することになったのです。そこで、この土地の有効活用を考えたのです。
数年前にアパートの建て替えを一緒に進めた鶴見様とは、その後、自宅の改修や駐車場の整備など永いお付き合いをしていました。そのような中、末娘の結婚が決まり、新婚生活の住まいとして鶴見駅近くの賃貸マンションを探してほしいと相談を受けていました。そこで、この駐車場に3戸のメゾネット型賃貸アパートを建設し、1室を娘夫婦に住んでいただき、1室をモデルルームとしてN社が借りれば、リスクは1室の賃貸住宅だけになると考え、鶴見様とN社に提案したのです。駅4分という希少な土地、メゾネット型のモデルルームも珍しいということを理解いただき、早期に決断をいただいたのです。しかし、各々の実家が鶴見区であり、駅にも近いということではあったのですが、さすがに1LDKのメゾネットでは狭い、駐車場もほしいということになりました。そこで、賃貸アパートの建築に加えて、隣地の3階建てのモデルハウスの購入にもつながったのです。
もともとモデルハウスだったこともあり、家具や家電、照明やカーテン、小物などをそのままお付けすることになりました。結婚準備を一気に進められたことで、ご両親が笑顔になったことは言うまでもありません。そして、家族みんなが使える駅近の駐車場(モデルハウスはビルトインガレージ)も確保でき、便利になったのです。もちろん、大きな投資にはなりましたが、ご両親をはじめ、長男、次男、娘夫婦と家族みんなが笑顔になったことは、私にとってもうれしい限りです。数年後、お子様にも恵まれ、お互いの住まいへ良く寄るようになっているようで、鶴見家にとって良かったのではないかと思います。
今回の決断の背景には、駅からバス便のアパートを数棟保有していた鶴見様にとって、将来を見据えて駅の近くに資産を移動させるといった計画もありました。より安全な賃貸住宅経営(空室リスク、賃料、マーケティング)に資産を変えていくことは、重要なことです。現在の状況に満足せず、いずれ起きる相続対策のこと、将来の不動産価値、不動産の分散(同じ場所や同じ建物でなく)も、賃貸経営者としては意識していかなければならないのです。すべてが計画したとおりに進むとは限りませんが、いつでもアンテナを高く張り巡らし、有益な情報をもたらす人とコミュニケーションをとり、信頼関係を築けるように行動する必要はあると考えています。
それを見事に行っている鶴見様家族には、本当に感心します。いつ行っても、気持ちよく対応いただき、家族と食事するほど、心を開いてくれるのです(そう感じるのです)。また、先祖から引き継いだ不動産という資産を、後世にしっかりつなげるために、定年退職後も農業をコツコツ行い、質素な生活を喜んで受け入れているのです。謙虚な家族だからこそ、一度知り合った人たちが心から応援したくなるわけです。
私も、そのような鶴見様と長くお付き合いさせていただきながら、そのような姿勢、対応を勉強しています。「ひとり不動産コンサル」を普及させるべく、起業して、実践する上で意識しています。いろいろな情報をいただけるように、アンテナを高く張り、コミュニケーションを大切にしていきたい。また、自宅をリフォームした「断熱改修体験館」や「民泊ヨシロー」は、お客様の来場があるので、謙虚にお迎えし、居心地の良い時間をつくるようにしていきたいと思います。そこから、新しい人との縁ができ、新しいビジネスが始まると信じていきます。