伯母から母へ、そして有効活用

東日本大震災の際、横浜でも大きく揺れ多くの家屋に被害が出ました。田中さんが持っていた平屋住宅も一部破損をしてしまったのです。その家屋には長らく伯母さんが住んでいましたが、数十年前に亡くなって田中さんのお母様が相続、その後は賃貸に出していましたが、そのお母様も亡くなって田中さんが相続したのです。残念ながら、相続してすぐに賃借人が出てしまい、借り手がついていなかったときに大震災に遭ってしまったのです。私は以前、耐震診断、耐震補強を推進していた「NPO法人住まいの構造改革推進協会」を運営しており、田中さんがこの協会主催の勉強会に参加したことで相談を受けたのです。田中さんは、私がいたN社の子会社のパートとして勤めていたことがあり、協会のことを知っていたようです。

田中さんは、少し離れた自宅マンションに年老いたお父さんと二人住まいで、簡単に平屋の家に来ることもできず管理に手を焼いていたのです。「古屋付きで売るか、活用するか」で悩んでいました。京浜東北線の駅から10分、国道1号線から1本中に入った道に面し、賃貸住宅に向いたエリアではあるものの、敷地は25坪もなく、西側が二項道路に面した角地でセットバックを余儀なくされ、さらに小さくなってしまうため、思ったような価格で売れなかったのです。リフォームしても1戸では貸せるかどうかも不安があり、収支もあまりよくないのです。そこで、市場調査を行い、賃貸住宅を提案することになったのです。2週間後、木造2階建て、1LDKの2戸、メゾネット型ロフトと太陽光発電付きの賃貸住宅を提案、価格を提示すると、その場で決断して建て替えることになったのです。

田中さんは、N社のことを信頼していたこともありますが、小さな土地だけに、今まで相談に乗ってくれた人がいなかったようです。販売する方向に話を持っていく不動産会社が多く、お母様から相続した土地だけに、本音では手放したくなく、活用することを望んでいたのです。当時は、太陽光発電に全量買い取り制が適用されたこともあり、表面利回りは13%を超え、数年で投資金額(解体・建築費用)を回収できる見通しが立ちました。預けていた退職金を活用できることも良かったのです。数か月後、解体から施工、完成、入居者も順調に決まり、年金が主な収入源だった田中さんは、月に数十万円ほどの収入アップになったのです。賃貸管理もN社の子会社が行い、建物管理も一緒に行うため、手間もかからず不安が除かれたと笑顔を見せてくれました。

遠く離れている人にとって、空き家になった賃貸住宅ほど不安なことはないようです。収入を生まない状況では、建物管理も自分で行わなければならず、予想以上に負担になっているのです。このような住宅は、全国的に今後増えることは間違いなく、放棄する人が出てくるのはよくわかります。今回は、賃貸住宅への建て替えと太陽光発電の全量買い取り制で有効活用できましたが、エリアによっては投資効果が少ない場合があります。空き家対策は、早めに手を打つことが重要であり、「今、活用しているから」と先送りするのではなく、空き家にならないように工夫していかなければなりませんね。例えば、相続した古い建物や内容が不明確な土地、権利が複雑な借地などは、子供の代ではなく、自分の代で処理、または活用したいものです。どんどん複雑になっていきますから。ご相談は、笑顔デザイナーへ。

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