初めての住まいづくりを応援する
中学、高校時代の後輩の小森さんとは、十数年来会っていませんでしたが、私の職場の近くに住んでいることを知って以来、年に一度、私の悪友たちとともに会食をするようになっていました。出身である中学校、高校の昔話をして大笑いをする一日は、本当に楽しい時間です。そのような付き合いでしたが、60歳台を迎えようとしていた時、相談を受けたのです。「自分たち夫婦は、マンションを持っているが、長女夫婦がおなかに子供ができたこともあり、住まいを探そうとしている。相談に乗ってほしい」と。「初めての住まいづくりをする人たち」に向けて、よく勉強会を行っていたこともあり、そのまま実施しようと考えてお受けしたのです。
こども夫婦たちに会うに前に、セミナー資料を送って、事前に読むようにお願いしました。それは、物件の検討に入る前にやることがあるからです。まずは、自分たちの生活スタイル(通勤や子育て方法、趣味など)と生活費の把握です。結構、夫婦で違うことがありますので、よく話し合っておいてくださいと。次は、住まいづくりの相談者を見つけること。信頼できるプロが望ましいですが、すぐにはできないので、意識だけでもしておくように。また、最低限の不動産知識の勉強です。できれば、専門誌を読む、セミナーなどに参加するのもよいでしょう。ネットでの情報は、物件ばかりが表示され、知識の取得はなかなかできないのです。
そして、面談をする機会をいただきました。結婚して4年がたち、賃貸マンションの更新と子どもができることから、そろそろいいのではないかと思い立ったようです。質素な生活をしており、共働きだったこともあり、しっかり者の奥様に感じました。事務所内で、将来の家族の求める姿、生活スタイル、経済的なことを聞くことができました。そんな中、首都圏の住宅には「基本的に5つの取得方法」がある旨、そのメリット、デメリットを伝えたのです。
マンションか戸建てか、中古住宅か新築住宅か、そして、土地を購入して注文住宅で家をつくるのか。中古は仲介手数料がかかる、マンションは管理費、駐車場代、修繕積立費などがかかる。マンションは管理方法、管理組合の資産なども重要であり、一方、戸建ては自主管理なので手間がかかる。注文住宅は、好きな間取りは手に入るものの、土地購入と家を発注するという2回のハードルがある。さらに、資金繰りを考えない(土地取得と家の取得時期が違う)とならない、などです。これを理解しないと、「取得した後」に苦労することになります。特に首都圏は、物件が多い分選択肢が多くなり、専門家の意見をよく聞くことは重要であると思っています。
不動産購入に当たって、もっともお客様の話が盛り上がるのは物件案内です。いくつもの中から、お客様に適した案件を提案することになります。もちろん、最終決定権はお客様にありますが、「お客様にとって、住まいの取得の目的」を明確にしながら、寄り添ったアドバイスをします。小森さんの娘夫婦の目的は、「おなかの子の子育てと家族の幸せ」を求め、そのために家を購入することです。結果、新築の戸建てを購入することになりました。奥様の実家のマンションから歩け、お母さんの協力をいただけて共働きを継続できるため、経済的に無理なく自分たちの生活スタイルも確保できると判断したのです。最近多いのが、「近居」「親夫婦はマンション、子夫婦は一戸建」なのです。
駅からバス便で、庭も取れないほどの小さな土地ですが、駐車場は2台、南道路で日当たりもよい戸建て分譲地です。子育てをする同世代が5家族ほど住んでおり、大きな公園や幼稚園、保育園、小学校、中学校も近く、子育てにも適した環境ではないかと思っています。子どもが生まれた後に訪問したのですが、後輩親子、ご主人も一緒に赤ちゃんを入浴させている姿を見て、みんなに笑顔があふれていました。このような家族が増えれば、少子化問題を解決できると思ってしまうほどです。ご主人とは、お互い神輿好きということもあり、近くの神社のお祭りで会うのですが、そのたびに、奥様と赤ちゃんを連れて報告してくれます。うれしい限りです。