物価上昇の中

ここ数年、物価の上昇が止まりません。相変わらず円安が続き、外国人観光客が増え、株価はどんどん上がっています。一方、会社員や公務員の年収はそれほど伸びていません。働き方改革もあり、労働環境は良くなっていますが、労働生産性が思うように上がっていないことで、年収アップにつながっていないのではないでしょうか。住宅や建築業界でも、首都圏の新築マンションの分譲価格は平均1億円にもなっており、ホテルも1万円以下では泊まれなくなってきています。また、ウッドショック後も資材価格が下がらず、建築費は高値で推移しています。更に、今年4月の建築確認申請業務の改正で新築着工数が激減し、8月以降には若干戻ってきているものの、今後の着工棟数は残念ながら減っていくと考えざるを得ないでしょう。首都圏だけかもしれませんが、新築住宅価格が影響して、中古住宅の価格も上がっており、一戸建てだけでなく、中古マンションでも一般的なサラリーマン家族が、住宅を購入できない状況が続くのではないかと懸念しています。このような日本の社会状況は、いつまで続くのでしょうか。

時代の流れを読んで行動している人と、物価上昇を嘆いている人との差が確実に開いています。「物価が高い、年収が上がらない」と言っているだけの人はどんどん苦しくなり、「株価上昇、不動産価格上昇」をビジネスにつなげている人は、どんどん裕福になっているのです。やはり、株や不動産に投資している人は喜んでいるのではないでしょうか。もちろん、投資ですから下がる可能性はありますが、政界情勢、日本の立ち位置から見るとしばらくは上げ基調が続くと思われます。

個人でできる物価上昇対策の一つが、収入源を会社やバイト先などの一つに絞るのではなく、インターネットや投資、不動産収入といった副業を行うことです。もちろん、週末に農業、漁業を行うということでも良いのです。他人に雇用されるのではなく、自らの活動で収入につなげる方法がたくさんあるはずです。収入源を増やすことは、組織や企業も同じではないでしょうか。例えば、四国のK建材様は、本業は建材や木材の小売ですが、商圏内の空き家を安く買い取り、取引先の工務店にリノベーションをさせ、最終的には投資家に買ってもらい、ゲストハウス運営で利回りを確保しています。千葉のプレカット工場は、本業は言うまでもなくプレカット部材を住宅会社に売っているのですが、古いアパートを買い取り、利回りを確保しながら、最終的にはアパートの建て替えや分譲住宅地に変えて販売しています。それ以外にも、地方の電気施工会社が、首都圏の中古マンションを購入して、相続対策を兼ねながら利回りを確保しています。千葉のアパート経営会社が、南房総でゲストハウスビジネスを運営しています。彼らのことですから、不動産投資だけでなく、企業への投資や株などの金融投資も行っているでしょう。

資金的な余裕があるから投資ができるのは確かです。彼らは、数年に渡ってコツコツと投資や不動産の有効活用行っているのです。いずれ、投資の利回りや配当で、本業の経費が賄えることまで考えて、着実に進めています。事務所や車など最低限のモノにして経費を抑え、利益を生むモノへ投資するのです。中小企業だからこそ、長期に経営を持続することを望むのであれば、収入源を分散する経営が必要ではないでしょうか。


