ミニ区画開発分譲地から見えること

自宅兼事務所は、約40年前から田畑を造成し、建売分譲してきた住宅団地の一角にあります。5から15区画程度のミニ開発がされ続けており、昨年にも分譲が行われ、今では約70区画ほどにまで拡大しました。地方都市によくみられる住宅団地です。小学校、中学校、大型スーパー、ロードサイドショップも徒歩10分以内にあり、5年に一度は若い世帯が入ってきます。現在の世帯主は、80歳代から20歳代までが混在していることもあり、いつの時代でも赤ちゃんから小学生、高校生や社会人になった子供たちをみかけることができます。

そんな住宅団地ですが、これまでに大型リフォーム(屋根・外壁修繕)が12棟、仲介による売買が3棟、買取再販(リフォーム後売買)が4棟あり、更に、賃貸住宅への変更が1棟、空き家が2棟になっています。いままで建て替えた住宅はなかったのですが、この秋には、解体、建て替えが行われます。30歳代の娘夫婦が同居してくれるということで、2世帯住宅にするようです。施工会社を見ると、大型リフォームはすべて地元のリフォーム専門会社が受注しており、買取再販は大手(全国ネット)が2棟、地元不動産会社が2棟、仲介売買はおそらくですが銀行紹介と思われます。初めての建て替えは、総合展示場にも出展しているH家という住宅会社です。分譲した会社が5社以上あるということもありますが、分譲会社が受注しているのは一軒もないという事実です。仲介も、買取再販も別の会社が行っているのです。残念ながら、これだけリフォーム工事が行われているのに、一棟まるごとの耐震改修や断熱改修(玄関、窓などで確認)は、自宅だけとなっています。

上記のような小規模分譲地は、バブル以降どの商圏でも行われてきました。購入したお客様は、リフォーム、売買、建て替えといった事を検討する上で、分譲会社に相談できず(廃業もある)、新しい業者選びに苦労していると考えられます。いわゆる住宅相談難民が多く存在しているのです。そのようなマーケティングから、外壁・屋根のリフォーム専門会社は不動産仲介と買取再販ビジネスに進出してきています。一方、不動産会社は買取再販ビジネスに注力するも、建て替えやリフォーム工事に進出することはないですね。それでは、私たち工務店はどのように対応したらいいのでしょうか。

新築建売、建て替え注文住宅は、一定数の棟数は残ると思われますが、やはり、買取再販ビジネスが主流になってくると思われます。と言うのは、築30年から40年になると世帯主が変わる時期を迎えます。その時に自分の子どもが、家を引き継ぐということは限りなく少なくなるからです。これからどんどん出てくる築30年から40年の既存住宅は、長期優良住宅をはじめ、性能が担保されている家がほとんどですので、解体してしまうよりも、リユースを考えるようになるからです。若い人が購入して自宅にしたり、住宅以外の利活用を考える人たちが増えてくると考えています。それらの新しいお客様に提案できるかどうかが、私たちの新しいビジネスにつながると考えています。自社ですべてを行う必要はありませんが、買取再販ビジネスのネットワークをつくることです。

まずは、不動産会社自ら行うことはできない「耐震・断熱改修」の技術力と考えています。若い世帯や住宅以外に利用する購入客は、築40年の住まいをあと数十年も利用することから、耐震性や断熱性は、新築同等の性能を持ちたくなるのです。その性能アップをできる技術力が、大きな差別化になると考えています。次にリノベーション設計力です。上記の購入客が満足できる活用方法を提案できるかです。新しい価値を生むリノベーションができるようにしていきたいものです。そのために、「耐震技術」は日本木造住宅補強事業者協同組合へ、「断熱技術」は断熱メーカーや窓メーカーの組織へ、「リノベーション設計」の力をつけるには、日本中の成功事例を見て回ることです。私も行動していこうと思います。

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