定年退職してから1年
早いもので1年が過ぎました。どうなるか、不安が残る中での船出ではありましたが、何とかできるものなのですね。大学を卒業してから、いくつもの山や谷があったのですが、この1年は、大きな山の一つと感じています。しかし、非常に楽しかったし、一日一日が非常に充実もしていたと感じています。
1年前は、明確なストーリーが見えていたわけではなく、生涯で一度は、起業してみたかったのが本音です。そして、経費をできる限り抑えることのできるビジネスモデルであれば、長くできるのではないかと漠然と考えていました。会社の名称を「株式会社鈴木芳郎」としたのは、「ひとり不動産コンサル」というビジネスモデルの表現の一つでもあるのです。自宅の一部を改修して「耐震・断熱改修体験館」にして、光熱費を実質ゼロにしたのも、車や固定電話、携帯電話を兼用にしているのも、印刷やスキャナーはコンビニで行っているのも、すべて経費が掛からないようにしたかったのです。
また、コンサルで必要と思われた各事業登録も、一級建築士設計事務所での登録が、宅地建物取引業や建設業の登録に比べて圧倒的に経費が掛からないからです。しかし、ビジネスを行う上で信頼を得るためには、最低限の告知活動が必要と考え、「ホームページ」を立ち上げ、「工夫をした名刺」をつくり、「耐震・断熱体験館」を公開するようにしたのです。ホームページ作成も友人にお願いし、最低限の費用で立ち上げ、毎日の更新は自分で行っています。また、私の不得意な、経理、納税、各種申請なども友人に力を借りています。本業のコンサル(業務提携、顧問、アドバイザリー)は現状7社となっていますが、事業形態はすべて異なり、要望されている内容は各社違います。これからは、7社の業績貢献に集中したいので、これ以上は増やすつもりありません。収入は決して褒められるものではありませんが、経費がほとんどかからないので、初年度から黒字になる予定です。また、自宅の事務所は民泊登録をしており、知人を中心に利用していただいています。
まだまだ、起業した会社の事業と個人の生活が混在していますが、「毎日限られた時間をどのように使うか」の優先順位は「楽しい」と「世のため、人のため」と位置付けています。そして、それを行動に移して一年が過ぎようとしています。サラリーマン時代では、通勤や会議などに多くの時間を費やしてきたからなのか、その反動が起きていることもあるのでしょう。今現在は、元気な体と心がありますが、「残された時間は決して長くはないな」と感じていることも事実なのです。
たった一人の企業であっても「2年目はどうすべきなのか」と、目標を作って行動しなければならないのかもしれません。しかし、今のところそのような計画もつくるつもりはなく、一日一日を大事にして、「楽しい」と「世のため、人のため」を軸足置き、行動していきたいと考えています。「そうしたい」とサラリーマン時代から長く考えていたのでしょうか。だからなのか、この一年は、朝起きるとものすごく気持ちが晴れやかなのです。「楽しいことをするぞ」「世のため、人のために行動するぞ」と心の底から思えるのです。
人生は、思い通りに行かないのが普通であり、苦しいと感じる時間が長いのも事実です。一般的に、年を重ねるたびに、家族や両親のことが心配で、自分の思う通りにいかないと諦めてしまいます。しかし、「誰かに言われた」「指示された」「選択の余地がない」とよく言いますが、それもすべて言い訳に過ぎず、最終の決断は、本人が行っているということです。人の意見を受け入れたのも自分が決断したからなのです。そうしないと、いつまでたっても「自分の人生の主人公」になれず、誰のために生きてきたのか、分からなくなってきてしまいます。
私たちは、誰でもない自分の人生を生きており、自分が主人公の物語をつくっているのです。それがこの一年で学んだことでもあります。人生をもっともっと楽しもうと思います。