総選挙から住宅業界を見る
石破内閣は、生まれたと同時に解散総選挙に踏み切りました。いろいろな理由はあるものの、与党自民党だけでなく、野党第一党の立憲民主党の代表も野田氏に代わり、新たな代表になった与野党が一戦を交えるのです。国民は、何を変えようとしているのか、守ろうとしているのか、日本の政党が久しぶりに試される。
各党が、国民へ「政策の約束」を提示するマニフェスト、この言い方ももう古いですかね。文章、メディア、ネットと、情報を得る手段はどんどん増えていますが、各地や路面で行う演説やTV討論会がもっとも頭の中に入ってくる。必死に訴えてくる声としぐさは重要で、なんといっても熱意が伝わってくるのです。自由な時間が増えたこともあり、いろいろな場所に出向いてでも、政治家のいう政策を聞くことにします。
というのは、経済政策、少子化対策など、我々の住宅業界に大きく影響するからです。まず、防災対策として防災庁の設立を目指すという「石破自民党」は、どこまで具体的に提案してくれるのか。被災後の復旧、復興も大事ですが、「事前防災」を進めてほしいですね。しっかり準備すれば、災害を最小限に抑えられるからです。地震、台風、水害などの事前防災対策として何が重要かはわかっていますが、やり切れていない理由は個人任せにしているからです。地震大国といわれる日本において、防災の1丁目1番地である地震対策として、「住宅の耐震化」が最も効果があるとわかっていながら、進まない。補助金はあるものの、このままでは耐震化が終了するまでに数十年、百年かかってしまいます。まずは、耐震診断は義務的に行い、事実を知ってもらう必要がある。人間の「健康診断」と同じです。そして、最終的には、耐震化できない家の住人は空き室が目立つ「公営住宅」へ移住してもらい、強制的に解体するぐらい行ってもよいのではないか。住宅地の住宅は公的な意味を持っており、倒れなければ火災も避難通路をふさぐなんてこともありません。同じように、水害もがけ崩れも事前防災があります。課題はたくさんありますが、実行できる仕組みにしてもらいたいですね。
経済政策は、企業へ寄りかかる政策(法人税アップ、最低賃金や週休3日など)ではなく、個人の能力を高められる対策にしてほしい。もっと日本国民の能力を信用してほしいのです。副職・兼業の促進、2拠点住居、リモートでできるビジネスへの転換を応援してほしいのです。もっとイキイキ、もっと力が発揮できる政策へ。高校の授業料無料化は必要ですが、社会で活躍できる能力を身につけられなければ卒業できない、そのような教育に変えてほしい。今の政策は、強い企業、弱い日本人になるように見えるのです。個人が強くなれば、地域に居ても能力を発揮でき、地方活性化になると考えています。これが我々の業界を活性化することになります。東京一極化は大手企業に有利であり、工務店事業には厳しくなりますから。
最後に少子化対策です。残念ながら解決の糸口が見えないですね。結婚が進まない、望まない、子どもをつくる必要を感じない。家族をつくることに、人としての幸せの姿が見えないのでしょう。結婚や子育ての経験者は、自分の人生からそれを除くということは、ありえないと感じるのに、未経験者にはそこに魅力を感じない。ぜひ、その政策を比較したい。私たちの住宅業界は、家族の在り方、家族がなければ成り立たないからです。
今回の選挙は、「政治と金」と言われていますが、日本の政治は、いつまでそんなことをやるのでしょうか。上記の問題に対する解決策を提示して、実行してほしいのです。もちろん、政治だけで解決できないこともあるでしょうが、最も近い場所にいることも確かです。国民を信じ、国民は政治家や経済界を信じることができれば、日本社会の課題を解決する力は持っていると思うのです。そうやって2000年以上大きな課題を乗り越え、日本という国を継続してきたからです。元寇、明治維新、原爆と終戦、高度成長時の公害、東日本大震災など、世界が驚くほどの問題を解決し、効果を上げてきたのです。今回は、与野党の党首討論を真剣に聞き、自分の仕事につなげていこうと思います。