防災の日に思うこと

今日で関東大震災が起きてから、101年が経ったのです。その後も、阪神淡路大震災、東日本大震災など、過去に記録がないほどの大きな地震がこの日本で起き、残念ながら被害は深刻になるばかり。建物の倒壊や津波被害、がけ崩れだけでなく、原発事故といった過去にはあり得なかった災害も起きてしまった。どんなに進歩しても、人間の知恵だけで地震を止めることはできないのだから、日本で生活をする以上は、起きる前提で準備をするしかないのです。

24時間365日のうち、最も無防備な状況は睡眠時であることは誰でもわかっています。だからこそ、無防備な時間を過ごす自宅を安全なものにしなければならない。それが、耐震補強(リフォーム)なのです。人間と同じで、検査を行い、弱っていたら治さないといけません。それをいつまでもそのままにしておくから、もしもの時に取り返しのつかないことになってしまうのです。家が壊れるだけならまだしも、命を奪われることになってしまい、あらゆる救助の足を引っ張ることさえあるのです。津波被害や原発事故、がけ崩れも、「命を守る」といった意味では対策が必要ですが、少なからず避難する時間があります。しかし、「弱い住まい」だけは逃げ出す時間もないのです。住宅火災も倒壊したから起こり、防災備蓄も倒壊してしまえば意味をなさなくなります。

建築基準法の耐震基準は、1981年に大幅に改定されました。その後、阪神淡路大震災における倒壊原因を精査した結果、2000年に再度改定され、より数値化、明確化がなされたのです。1981年以前に建築された住宅は言うまでもありませんが、1981年から2000年に建てられた住宅でさえ、約75%が現在の耐震性を満たしていないという報告がされています。だからこそ、住宅を事業の対象にしている会社は、耐震診断、補強技術を身に着けてほしいのです。リフォームをビジネスにする以上、設計事務所、建設会社には耐震診断を義務付けにしてほしいくらい重要なことだと思っています。というのは、修繕やリフォームをする時が耐震診断をする最大のチャンスなのです。診断すれば自分の家がどういう状況か気が付きます。その後の最終判断は、持ち主に委ねられますが、人間の健康診断と同じように意識は大きく変わるのではないかと思います。我々建築のプロは、脅すのではない、事実を知らせる役割があると考えています。

今年に入って、残念ながら、能登半島、宮崎日向沖地震、東北や関東などでも大きな地震が起きています。緊急を要することだと思っています。もちろん、国や行政も、必死に道筋をつくってはくれていますが、行動するのは我々民間事業者しかないのです。民間事業者が国民のために動くようになれば、国は黙っていてもついてきます。企業や国民が一致団結して、日本の国を良くしよう、強靭化しようとなれば、阪神・淡路大震災のような被害は起きないと信じています。

私が、「日本木造住宅耐震補強事業者共同組合(木耐協)」の技術顧問を担当することになったのは、上記の思いがあったからです。日本で唯一と言って良い木造住宅の耐震補強を実践している工務店様のグループです。今の組合員数は1,000社程度ですが、すべてのリフォーム事業会社が入会し、学んでほしいと思っています。それが、住まい手のため、日本の強靭化につながるのです。日本全国の木造住宅施工者が会員になり、協力すれば大きな力になります。地震大国日本であっても、安心な社会基盤を提供できるのです。そして、世界にも誇れる国土強靭化ノウハウを構築することもできるのです。ぜひともご入会いただき、耐震補強を学んでいただきたい。 

 建物の倒壊で亡くなった人は、声を出すことはできませんが、「もしも、助かる方法がわかっていたならば、事前に教えてほしい」と言うに決まっています。遺族は「命だけでも助かってほしかった」と思ったに違いないのです。「命を守る家づくり」は、我々工務店の使命です。 https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/1923_09_01_kantoujishin/index.html#:~:text


 

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