いろいろな本からビジネスを学ぶ
40歳の時に単身赴任になってから、夜に時間をとれるようになったこと、出張が多く移動時間が増えたことから、全く読まなかった本を読むようになりました。年間100冊を超える時期もあり、小説から業界本、ノウハウ本までランダムに読んでいました。半分くらい読んで、面白くないとそれ以上読まないといったこともあり、人生の為になったかは疑問ですが。今でも年間50冊は読んでいると思います。
そんな中、ハマっているのが「楡周平」のビジネス小説です。一気にすべて読み切って、すぐに終わらせてしまうことが寂しく、月に2冊と決めています。日本社会や日本企業の課題を主人公たちが、アイデア、行動で見事に解決していく物語です。世界のビジネスの中で揉まれながらも、「日本っていいな、日本人っていいな」と思わせてくれるのです。例えば、東京一極集中、百貨店の斜陽、地方活性化を題材にした「日本ゲートウェイ」、EV化が進む自動車業界で、最高峰のエンジン車をつくり上げる「ラストエンペラー」、世界に誇る鉄道技術で、新幹線ではなく観光列車とおもてなしを成し遂げる「鉄の楽園」、服部金太郎をモデルにした「黄金の刻」、企業から個人の能力が重視される時代を作り上げる「限界国家」、学歴社会に一石を投じ、個人の発想、行動力で天下を取る「TEN」、「逆玉に明日はない」「サンセット、サンライズ」など、心を揺さぶってくれます。私が「ひとり不動産コンサル」を起業させようと思ったのは、これらの本に影響を受けたことは間違いないのです。
本は、著者が必死に集めた情報をもとに、読者へ伝えたいことを分かりやすく纏めたものです。ですから、著者の思いを理解できると、うれしいだけでなく、勉強にもなりますね。もちろん、読み込まないと理解できない本もあれば、頭の中にすぐに入ってくる文章もあります。本当は、繰り返し読むほうが人生のためになるし、ビジネスにも生かされると思いますが、世の中には、きりなく本が出版されており、ついつい、いろいろな本を手にしてしまいます。
私の場合、二つの方法で本を手にします。一つは、図書館が購入したばかりの新刊本を意識して探して、手にした一冊が面白ければ、著者の本を過去10年くらい戻るように読み始めます。そうすると、著者が何を言いたいのか理解できることが多いのです。そして、最後はブックオフなどで購入します。
もう一つが、人間学を学ぶ月刊「致知」に登場する人たちをテーマにした著作本です。あらゆる分野の人が登場するだけに、ビジネスだけでなく、新しい発見があります。読書をするようになってから、いろいろなことに興味を持てるようになりました。30歳代は、子育てや住宅購入、仕事のことで精いっぱいだったことも確かですが、政治も経済も、ほとんど興味を持っていなかったと思うし、趣味もこれほど持つこともなかった。いろいろな本を読み、いろいろな人の考え、生き方が自分の生き方に大きく影響し始めたことは確かであり、それが楽しくなってきたのです。 これまでは、読書そのものが楽しいといったこと、生き方や人間を磨くといったことでした。しかし、最近はビジネスにも活用できると考え始めています。そのきっかけが「楡周平」の著書なのですが、ビジネスで活躍した「偉人伝」やアドラーを紐解いた「心理学」、地域活性化や少子化対策の「社会問題」の著書などは、ビジネスヒントになりそうなことがたくさん出ています。
例えば、渋沢栄一や稲森和夫、松下幸之助などは言うまでもありませんが、二宮尊徳や徳川家康、上杉鷹山などは、組織運営や経営方法が学べます。人をどう動かすのか、どんな場面でどのような判断するのか、小さな会社だからこそ、トップが知っているかどうかで決まってしまいます。「心理学」も、お客様の対応や社員のモチベーションを保つためにも役立つと考えています。特に、社会問題解決である「熱海市モデル」「海士町モデル」「空き家問題」「女性たちから考える少子化」など、きりなくありますね。私自身、起業をしたこともあり、読む本すべてが自分のやりたいビジネスにどうつながるか、考えてしまうこともあります。よく考えてみれば、毎日の行動や見るものすべてが、自分がやりたいビジネスにつながるか、考えているのかもしれません。