相続対策からのビジネス

少子高齢化が進む日本において、今後、確実に増えるのが高齢者を対象としたビジネスではないでしょうか。セレモニーセンター、介護施設などは言うまでもなく、医療、ドラッグストア、健康食品も伸びています。どのマスメディアもTVショッピング番組が増えているのは良い例です。私たち住宅関係者は、高齢者へのアプローチはできているのでしょうか。新築事業であっても、リフォーム事業においても、「アクティブシニア(健康で活動的な高齢者)」が中心になっていくことは間違いないからです。しかし、費用対効果を明確にしていかないと動かない層でもあるのです。残りの人生をどれだけ、「楽しく、快適にできるか」が問われています。

アクティブシニア層が増えれば、「相続」は確実に増えていきます。「相続税」対策を問題にしているのは、資産家や大都市に自宅がある人たちだけですが、「相続」対策は全国津々浦々で起こります。その中でも、自宅を含めた不動産への対応は簡単ではなく、もめごとの一つになっています。「評価額と実勢価格が違う」「近隣との境界問題」「建物の活用方法」「土地建物の維持管理」など、相続する人たちが悩むのです。

最近では「一生独身」が増え、相続する人が甥や姪、中には高齢な兄弟になるケースもあります。そうなると、見たこともない、住んだこともない、なじみもない不動産を相続するということが起きます。売却して現金に換えるのか、賃貸にするのか、自分が活用するのかといった選択肢がありますが、物件に対する思い入れがほとんどないので、損得だけで考えるようになります。その時に相続不動産のプロへ相談することになります。

近い将来、「相続不動産の専門窓口」といった新規ビジネスが出てくると考えています。街の不動産会社、不動産仲介会社、賃貸管理会社だけでなく、相続診断士や税理士、弁護士なども相続不動産の窓口になりえます。私たち工務店は、これらの会社と人的ネットワーク組むことです。上記の人たちでは提案できない、「活用する建物の状況や価値」「リノベーション金額」が必要不可欠だからです。そして、相続が発生すると、あらゆるビジネスにつながっていくと考えています。
例えば、介護施設が「入居者調査=資産状況」から不動産の存在を知り、不動産価値を調査することになります。その時に相続する子供たちは、資金を捻出することも含め、相続不動産をどうすべきか、介護施設に相談することになるでしょう。また、会社経営や個人事業主であれば、税理士や会計士に相談することになります。それらの相談事を、窓口の人たちと「建築という専門分野」でフォローすることから、ビジネスにつながっていくのです。生まれ故郷への移住や子どもの住まいへの同居が決まった時も相続不動産のことを相談したいものです。

これからそのような相談の増加が見込まれるのではないでしょうか。実際に介護施設を運営しているY販売店様、介護施設と提携しているデベロッパーH社様などは、専門の担当者を置いています。彼らは、相続不動産の選り好みをしません。丸抱えでお客様の希望に応えていくのです。例えば、東京の自宅と茨城の別荘、生まれ育った山梨の駐車場跡地など、お客様の持っている全ての不動産に対応していくのです。
新築工事をする、リノベーションを行う、リフォームを施工するといった本業は、大きくは変わりませんが、お客様の層が変われば、情報収集の方法は大きく変わり、提案する方法や内容も変えていかなければなりません。今まで、日本には居なかったお客様の層であり、ライバル会社も体験していないのです。だからこそ、面白いことであり、考えていかなければならないと思うのです。一緒に、アクティブシニア層に向けた「相続不動産対応システム」を作り上げていきましょう。