展示会から見える住宅業界

今月末に開催されるN社の住宅建材展示会。コロナ禍を過ぎ、リアル展示会に移行してから2回目になりますが、コロナ禍前の規模からみると、会場が東京ビックサイトからパシフィコ横浜になり、大幅に小さくなりました。オペレーションもずいぶん簡単になったようです。特に、木材を前面に出すことで、非住宅建築などを受注できる仕組みを模索しているように感じます。最終消費者というよりもプロ向け、それも住宅関係者だけでなく、行政、設計事務所、ゼネコンといった建設業界関係者を新しく呼び込んでいるのです。展示側の建材メーカーも非住宅用を充実させており、一般消費者にとっては参考にならない展示会に変わってきていると感じるのです。一方、リフォームやリノベーション向け建材は、消費者向けの需要が伸びることを期待してか、今までのような消費者向けになっているのです。

住宅建材の展示会は、プロ向けの即日販売の色が強かった時代から、消費者向けの新商品などの発表の場に移行し、今では住宅業界関係者以外の人たちへの告知の場に変わってきています。もちろん、即日販売(まとめ買い)の意味も、消費者へのアプローチの意味も残ってはいますが、来場するお客様が少しずつ変わってきて期待していることが違うのです。即日販売時代は、自分たちが受注した新築住宅に展示している建材が使えるかどうか、決定権が住宅会社にあったのです。それが、消費者を一緒に連れてくるようになったことで、決定権が消費者に移りました。今は、決定権を持つ消費者の関心が、新築からリフォーム工事に移行しているのです。一方で、新築工事は明らかに非住宅建築中心に変わり、決定権者が行政や事業者、設計事務所に変わってきています。展示側から見ると、昔と比較して、複雑になっていることも事実です。

それでも、展示会を開催することは業界にとって必要不可欠なのです。一つの場所で、たくさんのメーカー商品を見ることができるし、設計から完成までに関わる資材、仕組み、サービスなどを知ることができるからです。たくさんの情報を一度に得られるのは、魅力の一つです。情報を得て、「間違いのない住まいをつくる」ことができる唯一の場と言えるからです。また、新しい商品、サービスは、自分から行動しなければ出会うことはないのです。最近の展示会には、無料のセミナーが必ず用意されているのも、情報の場づくりと意識しているからです。

我々工務店は、展示会に参加する目的も変えていかなければならないと考えています。まずは、最終消費者をご案内して、いろいろな商材を見ていただき、ご決断をいただく場にしてほしい。新しい商品も特徴のある言葉だけでは通じないことが多くあります。特に、大型リフォームを考えているお客様は、本当に喜ぶと思います。次に、社員の研修の場にしてほしいのです。世の中の流行もとらえることもできるし、次世代は何が来るのかを掴みとってほしいのです。また、各セミナーも有効であり、業績を伸ばしている会社が何をやっているのか見聞きすることもできます。社員に刺激を与えてほしいのです。各ブースに行って「何に特徴ですか」と話しかければいいのです。 最後に、経営者として、工務店経営ビジネスの在り方を見てほしいのです。我々は、木造住宅の新築工事に大きく依存してきました。将来に向けて、着工数が減少している中でも生き残れる方法は、必ずあるはずです。それをどこに見出していくのか、自分で感じ取ってほしいのです。建材メーカーのブース、N社の提案、オリジナルのビジネスセミナーも開催されているはずです。答えは、自分で感じるしかないのですが、「リノベーション、リフォーム」「新築」「非住宅建築」「不動産」などが我々の近くにあるビジネスです。それ以外にも、「宿泊施設」「インバウンド」「介護」「空き家」「少子化」なども新しいビジネスになると考えています。そのような中から、自社の商圏、自社の特徴から、方向性を見極める場にしてほしいのです。私もパシフィコに行って、自社の「ひとり不動産コンサル」をどのように普及させていくのか、顧問契約先の業績につなげていくのか、学んでいこうと思っています。展示会場で会いましょう。

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